着物の収納と聞いて、皆様はなにを思い浮かべますか?
桐のタンスを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
タンスにしまい込んで、着ていない着物がある方もいることでしょう。
高価な着物だから···もったいないからといった理由でしまい込んでいる着物はありませんか?
間違った保管方法でカビが生えてしまっては、着物の価値も下がってしまいます。
着物の正しい収納方法や便利なグッズ、見せる収納についても解説していきます。
この記事の目次
着物の収納とは?
着物の収納を考える上で最適な環境とは、
どんな環境なのでしょう?
湿気が多い環境ですと、着物が空気中の湿気を吸収し、カビの原因となります。
着用した着物をしまう際も、陰干しをして
汗などの湿気を飛ばしてから収納するように心掛けましょう。
汗の98%は水分ですが、塩化ナトリウムや尿素、アンモニアなど様々な成分が含まれています、カビの原因だけでなく変色の原因になります。
夏場は特に湿気対策も含めて重要になります。
湿気対策以外にも直射日光により太陽光の紫外線が原因で着物の色が焼けてしまったり、変色してしまうこともあるので、直射日光があたる環境は避けるように心掛けましょう。
また、蛍光灯の光が長時間あたる環境も避けましょう、太陽光ほどではありませんが
蛍光灯は原理上、蛍光管の中で水銀ガスと電極から放たれた電子によって紫外線を発生させますので注意が必要です。
適切な収納方法で大切な着物を美しく保管する方法を身に着けましょう。
洋服よりも配慮が必要な着物の収納
洋服と着物の収納方法の違い、
収納の際に気を付けるポイントを解説していきます。
皆様の中には、洋服をハンガーにかけてクローゼットに収納している方も多いのではないでしょうか。
着物もハンガーにかけて収納することは出来るのでしょうか?
答えは「いいえ」です。
型崩れやシワの原因になるので、長期間、着物をハンガーにかけたままにするのは避けましょう。
着物をたたむときは、できる限り広い場所でたたむことで着物をシワなくたたむことができます。
また、もとからある着物の折り目にそってたたんでいくことで、生地や縫い目に負担をかけずにたたむことができます。
着物は洋服と比較して繊細で注意が必要な点が多くあります。
防虫剤につきても無臭のピレスロイド系やにおいのあるパラジクロロベンゼン、ナフタリン、着物では一般的な樟脳などがありますが、単体での使用では問題ありませんが、2種類の防虫剤を使用することで、その成分によって変色や色焼けの原因になるので注意が必要です。
樟脳は、独特の匂い(クスノキ由来の成分)に虫が嫌う成分が含まれており、他の防虫剤に比べて揮発が緩やかなので防虫効果が長く持続するため、着物の長期の保存に昔から用いられてきました。
大切な着物を長く着るために細心の注意が必要です。
お茶屋の茶箱が段ボール代わりだった?
昔は、お茶屋さんが安く売っていた木製の茶箱がダンボールの代わりに使われていたそうです。
本来、茶箱はお茶を保存するためのものですが、中に貼られたトタンの板には防湿効果があり、茶箱の優れた防湿性や防虫性から衣類や雛人形などの大切なものの保管にも適しています。
プラスチックの収納ケースは、リビングに出しっぱなしというわけにはいきませんが、杉の持つ温かみのある風合いはインテリアにも自然と馴染むのではないでしょうか。
着物の収納におすすめの保管道具
桐箪笥(きりたんす)
桐箪笥が着物の収納に適しているといわれる理由には、桐の持つ特性である調湿性、防虫性、耐火性といった特性が上げられます。
桐箪笥は湿気を吸収することで膨張し、乾燥すると収縮します、これらの特性により適度に空気を通すことで湿度を調整することができます。
また、桐に含まれるタンニンの成分を虫が嫌うので防虫効果があります。
しかし、桐箪笥に着物をしまったからといって万全な訳ではありません。
桐箪笥は吸湿性が高いので、風通しの悪い場所では、調湿性が活かされずカビが発生しやすくなります。結露が気になる窓際や湿度の高い場所などの設置は避けましょう。
桐箪笥の価格の違いは、まず横幅で決まります。
横幅が広くなれば、価格も高くなります。
そして、桐箪笥の板の厚みによっても価格が変わります。厚くなれば価格が高くなります。
一般的にもっとも多い板の厚さは2.7cmとなります。
経済産業大臣の認定を受けた伝統的工芸品として指定されている産地には以下のものがあります。
・新潟県 加茂桐箪笥
・埼玉県 春日部桐箪笥
・愛知県 名古屋桐箪笥
・大阪府 大阪泉州桐箪笥
・和歌山県 紀州箪笥
伝統証紙が付いた製品を選ぶことで、より安心してお使いいたけるのではないでしょうか。
桐ケース
箪笥を買うほどの量ではないけど収納ケースが欲しい場合は、桐製のケースがおすすめです。
お持ちの着物の枚数に応じて段数を選ぶことができます。必要に応じて買い足すことが出来るのもメリットです。
数段重ねでキャスター付きのものであれば押し入れの奥行きを活用しながらしまえます。
奥行き45cmのクローゼットに入るサイズの桐ケースもあり収納場所に応じてサイズを選ぶことが出来るのも桐ケースのメリットです。
着物用収納ケース
着物をたとう紙ごと入れられる、まちのついた収納ケース
不織布やダンボールなどの素材のものがあります。
収納する場所は、出来るだけ高い場所に保管するなど、湿気対策は必須となります。
メリットは、軽くて扱いやすいといった点と不要になったときも処分が簡単にできることです。
着物用収納袋『きものキーパー』
ケース要らずでベッド下や箪笥の上にも収納できる万能な収納袋
三層構造の特殊なフィルム製で、防湿、防虫、防臭、抗菌効果があり、
カビや害虫などから着物を守ってくれる、着物専用の収納袋です。
着物や羽織り、襦袢などまとめて入るため、あらかじめコーディネートを決めてひとまとめにしておくことが出来ます。
定期的に着物の虫干しが出来ない方にもおすすめです。
着物用ハンガー『つる子さん』
ハンガーにつるすと崩れがちな衿元や袖付けもきちんと型崩れしない様に収納が可能にするアイテム
従来の着物ハンガーでは、幅も高さも必要でしたが
袖だたみの状態でハンガーにかけることができるので場所も取りません。
シーズン中に着る普段着の着物向け。
たとう紙
着物を収納する際に必須のたとう紙
和紙を使ったものは、
吸湿性に優れ、紙の適度な凹凸により着物が中ですべりにくくシワの防止にもなります。
安価な商品で、通気性が劣るものは湿気シートなどとの併用が必要
サイズとしては、一般的な二つ折りタイプがおすすめです。旅行の際などに用いる携帯用の四つ折りサイズもありますが長期間の保管には向きません。
100均グッズ
100円ショップにも、着物を収納するのに便利なグッズが売っています。
不織布の着物収納袋がそれです。
和紙製のたとう紙と比べて厚みが薄いので適材適所で使い分けて見るのもいいかもしれません。
ベッド下にも!プラスチック収納ケース
奥行きのある押し入れやベッド下にぴったりな衣装ケース
引き出しタイプやボックスタイプなどが選べるので
収納場所に応じてサイズが選べるがメリット
プラスチック素材は、吸湿性が無いので湿気対策が必須となります。
衣類用タッパー
気密性の高いタッパーであれば除湿・防虫などしっかり対策をした上で、
湿気が気になる押し入れやクローゼットの収納も可能です。
調湿木炭
木炭の持つ調湿、脱臭はよく知られているますが、
自然素材で安心なので設置場所を選ばないのもメリットです。
木炭の脱臭効果は、炭の中の小さな孔に成分を吸着することで効果を発揮します。消臭効果を目的として木炭を使用する場合は、消臭効果が感じられなくなった時点で交換をおすすめします。
調湿交換が目的であれば取り替え不要で、半永久的に使用が可能です。
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アイデア次第!見せる収納で普段着物をすぐそばに
普段着物限定の見せる収納。
日常的に着物を着る人や化繊などの着物が多い人におすすめ
見せる収納で意識するのは、詰め込み過ぎないこと
余白を意識することで使いたいときに、すぐ手に取ることができ、なにがどこにあるかが一目で分かるのが見せる収納のメリットです。
見せる収納だけではなく、見せたくないもの普段あまり使わないアイテムなどはかごなどにしまうなど、隠す収納をバランスよく取り入れることで何を見せるかを意識した収納は、使い勝手も向上し、コーディネートを考えるのも楽しくなるのではないでしょうか。
スチールラック
スチールラックを利用したオープン収納のメリットは、通気性の良さからカビの心配が少なくなることです。直射日光の当たる場所を避け、ほこりや虫から保護するためにも、たとう紙に入れて収納することをおすすめします。
ホームセンターなどで購入出来るスチールラックには、棚板や柱などの部品単位で購入が可能な商品もありますので、着物の枚数や収納スペースに合わせたラックを組み立て見るのもいいですね。
カラーボックス
カラーボックスを利用した収納のメリットは、豊富なサイズや簡単に扉を付けたり棚を増やしたりできる拡張性の高さです。比較的、価格も安価なので収納スペースに合わせた棚のDIYにもチャレンジしやすいのではないでしょうか。
クローゼットハンガー
収納ケースと併用しながら上手に収納することで
収納スペースの問題を解決!
普段着物はつる子さんにかけて、大切な着物はケースで収納など使い分けることでクローゼットを有効に使えます。
持ち運べる収納!着物用バッグ
着物の持ち運びに便利な着物収納バッグ。
着付け教室の際の持ち運びや結婚式等、外出先での着物の持ち込みなど
着付けに必要な和装用具一式をコンパクトに収納できます。
男性にも!袴も綺麗に収納できる着物バッグ
袴用の着物バックは、
通常の着物バッグよりマチを大きく取り、余裕を持たせた作りなので、男性の着物や袴も余裕で収納出来ます。弓道や合気道などのお稽古ごとの移動にも使えます。
旅行先へ着物を持っていく
着物を旅先へ運ぶ場合は通常の荷物と同じようにキャリーバッグに入れるのが一般的です。
次項でキャリーバッグへ荷物を詰める際の注意点についても解説します。
着物のたたみ方
着物のたたみ方
着物は、本だたみで折り、袖の幅で三つ折りにします。
帯のたたみ方
金糸や銀糸、箔、刺繍などの繊細な部分は和紙をあてて保護してあげましょう。
帯をたたむ際は、お太鼓の部分がしわにならないように、
手先が左になるように、帯の裏面を上にし、
手先を20cmくらいの長さを内側に折り込みます。
柄の出る部分がしわにならないように内側に折る幅は調整してみてください。
帯全体のしわをのばしながらたたんでいきます。
二つ折りを繰り返していき、
収納するバッグに収まるサイズにします。
荷物の詰め方
バッグに着物を詰める時の注意点を解説します。
キャリーバックに収納する際は、なるべく平らになるように、運んでいるときに着物が動いてしまうのを防ぐために隙間を作らないようにしましょう。
着物、長襦袢、帯を重ねて風呂敷で包むことで
しわを防ぎながら、キャリーバッグから取り出すときも取り出しやすくなります。
折れやすい衿芯は、丸めてケースに収納し、着付けに必要な小物など旅行用ポーチにまとめておくとキャリーケースの中でバラバラにならないですみます。
着物におすすめのトラベルグッズ
旅行先でも、衣裳敷きは必須になってきますが、
意外とかさばるものです。
薄手でコンパクトな衣裳敷きを携帯すると便利です。
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汗を吸った長襦袢や着物は、着物用洗濯ネットに入れて小さくたたんで収納すると、
帰ってからすぐに洗濯できます。
家で洗えない着物でも、他の着物や帯に汗が移らないため重宝します。
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まとめ
着物を着るのは好きだけど収納に苦労しているという人も多いのではないでしょうか。
自分のライフスタイルにあった着物収納を見つけ、
見せる収納などを取り入れることで、インテリアの一部として、身近に着物をおいておけるとより袖を通す機会が増えるので試してみてください。