【着物の種類と季節】袷(あわせ)の着物とは?いつ着るの?

【着物の種類と季節】袷(あわせ)の着物とは?いつ着るの?

四季のある日本では、着物にも、洋服と同じように「衣替え」の習慣があります。
季節によって、生地の厚さや仕立て方などが違う種類の着物、帯、小物類を合わせます。

大きくは、秋~春にかけての「袷(あわせ)」、初夏・初秋の「単衣(ひとえ)」、盛夏の「薄物(うすもの)」に分けられます。

袷(あわせ)の着物とは?

表地に加えて裏地、八掛の付いた着物を袷と呼びます。
見分け方としては、裾や袖などに表地とは違う生地が縫い合わされていれば袷です。
布地が重なっている分、暖かいので、秋~春にかけて着られます。

袷(あわせ)の着物はいつ着る? 季節や月は?

袷(あわせ)の着物はいつ着る? 季節や月は?

「着物と季節」に悩んだことはありませんか?
袷の着物はいつ着たらよいのでしょうか。

袷の着物の時期(10月~5月)

暦通りの衣替えの習慣に従うと、袷の着物は基本的には10月1日~5月31日までとなります。
6月1日に初夏用のものに、10月1日に秋用のものに着替えます。
秋~冬~春、つまり夏以外と覚えておくと良いでしょう。

決められた季節以外には着てはいけない?

「〇月の結婚式にお呼ばれしている」「ゴールデンウィークに着物でお出かけしたい」など予定が決まっているときは何を着たらいいの? と疑問を持つこともあるかもしれませんね。

6月、10月に衣替えの習慣があるからといって、これにぴったり合わせなくても大きな問題はありません。
特に昨今は春先や秋に入っても暑い日が続くことが多いので、着る場所やご自分の体調などにあわせて調節することを優先させて問題無いと、許容範囲が広くなってきています。
個人的なお出かけでしたら、体感温度を優先させてもよいでしょう。
呉服屋さんや着物ショップのスタッフの方でも、気温が20度近くなる日にはもう単衣を着ているという方も多くいます。

ただし、式典など正式な場や、同席する方に対して礼を尽くす場では、基本に従っておくのがマナーとして好ましいといえます。

袷の着物が暑いときはどうすればいい?

暑くて体調を崩しそう……というときには、無理に袷を着ることはありません。
でも、いきなり早い時期から単衣を着るのには抵抗があるなあ……、という気持ちになることもあるでしょう。

そんなときに重宝するのが「胴抜き」という仕立て方の着物です。
これは、袖や裾など目に付くところは袷と同じですが、身頃部分には裏地を付けない仕立て方です。
体の胴部分に裏地が付いていないため、見た目は袷ですが体感としては単衣と同じようになります。

襦袢を変える

着物の下に着る襦袢を、単衣や薄物(麻素材や高機能ポリエステル等)にすることで暑さ解消につながることもあります。
暑いからといって着物だけ薄手のものにするよりも、できるだけ見えない部分から徐々に変えていくのがスマートです。

袷(あわせ)の着物の種類にはどのようなものがある?

袷(あわせ)の着物の種類にはどのようなものがある?
袷の着物を着る場面と、着物の種類に迷ったことはありませんか?

礼装(訪問着、付け下げ、色無地、振袖など)

改まった場に着る礼装は、留袖、振袖、喪服、訪問着、付け下げ訪問着、付け下げ、色無地が挙げられます。
これらの素材は正絹やポリエステルであることがほとんどで、木綿や麻などの素材は使われません。

小紋(少しおしゃれしたお出かけ~普段着)

礼装ほどには改まっていないけれど、ちょっとおしゃれをしてお出かけするときや、日常の普段着には、小紋が最適です。
素材には正絹やポリエステルなどがあります。

※浴衣や木綿、ウールの着物は、基本的に袷仕立てはしません。

袷(あわせ)の着物に合わせる帯

袷(あわせ)の着物に合わせる帯
袷の着物には裏地が付いており、秋~春にかけて着る暖かいものだということをお話ししました。
では、どのような帯を合わせたらよいのでしょうか?

帯にも、夏を除くスリーシーズン用と、単衣、薄物用があります。
帯は比較的許容範囲が広いため、あまり厳格に袷用、単衣用、薄物用とは分かれていません。

袷の着物に合わせる袋帯

袋帯は、表地に柄があり、裏は無地であることが一般的です。(両面使えるリバーシブル帯もあります)

たいていは織の生地を使っていますので比較的厚めとなり、夏用と冬用の違いが分かりにくいのですが、見た目にも厚手で重めの生地と帯芯が使われてるものが袷用です。

袷の着物に合わせる名古屋帯

名古屋帯は、袋帯に比べると仕立て方の違いにより、やや薄めとなります。
裏地が付いておらず生地一枚のみの単衣仕立てや、透け感がある絽・紗ではない帯でしたら、たいていは袷の着物に使えるといってよいでしょう。

また、博多織の帯は通年締められると言われています。
ですが、「この帯は、真冬には少し薄くて寒そうに見えるかな?」など、色や柄などを考える方も多くいます。

袋帯、名古屋帯、いずれも生地の目がしっかりと詰まっていて、重量感があるものが袷の着物に合います。

袷の着物に合わせる半幅帯

半幅帯の合わせ方は名古屋帯とほぼ同様で、厚手でしっかりしたものがよく合います。
小袋帯と呼ばれる、裏表のある帯は最適です。

袷の着物に合わせる帯は、生地に透け感があるか無いか、また着物の生地とバランスの取れている厚さや重量感があるかを目安にすると良いでしょう。

袷(あわせ)の着物に合わせる襦袢、半衿、帯揚げ、帯締め

袷(あわせ)の着物に合わせる襦袢、半衿、帯揚げ、帯締め
着物や帯には、それぞれ適した季節がありますね。
それでは、襦袢、半襟、帯揚げ、帯締めなどの小物類はどうでしょうか。

襦袢

長襦袢にも、裏地のついている袷仕立てと、そうでない単衣仕立てがあります。
寒いときは袷、暑いときには単衣を着てしまってもかまいません。

最近は、身頃は単衣で袖部分だけ袷に見える無双(むそう)と呼ばれる作りになっているものが主流です。

上下が分かれている二部式襦袢では、身頃が一重の綿の晒で、袖と裾除けがポリエステルで作られていることが多くあります。
この場合も、袖が無双であれば袷の着物に合わせて着られます。

袷の着物と一緒に着る襦袢の素材は正絹やポリエステルであることが多いのですが、モスリンの襦袢もあります。
冬は、軽くて暖かいモスリンも人気の素材です。

半衿

半衿
絽や麻素材など、透けない素材でなければOKです。
真っ白の塩瀬がよく使われますが、刺繍衿、柄衿などもあり、素材もさまざまです。
秋~春の間でも、気温が低い時ほどふっくら感の強い縮緬、気温がやや高いときにはさらっとした素材の半襟にすると、季節感が出ます。

帯揚げ

半衿と同様、透けのあるものでなければOKです。
色、柄、また縮緬や綸子など織り方も様々ですので、お好みでコーディネートしましょう。

帯締め

基本的に、一年を通して同じものを使って構いません。
着物の格や色柄、季節やお好みなどに応じて選んでください。

まとめ

袷の着物は全体に裏地が付いているため保温性が高く、10月~5月に着るのが基本ですが、「日常生活では気温に応じて、5月や10月には着なくても構わない」、という習慣ができつつあります。

ちなみに、「紗袷(しゃあわせ)」という着物もあります。
これは、「紗(しゃ)」という織り方の生地を重ね合わせて仕立てた着物です。
紗は非常に透け感のある素材で盛夏用の着物に使われますが、紗と紗、または紗と絽の生地を袷仕立てにした着物です。
紗袷を着る期間は人によって若干違いますが、袷から単衣着物に変わるまでの5月半ばから6月初めまでくらいの1~2週間に着るとされています。(9月にも着るという方もいます)

気温が高くなってきたら着物や襦袢は薄めのものにしても、半衿や帯揚げなどの小物は暦通りに衣替えしてもいいですね。
季節を感じながら、秋~春にかけての袷着物を楽しんでください。