振袖とは?成人式や結婚式の失敗しない振袖選びや着方のポイントを紹介!

振袖とは?成人式や結婚式の失敗しない振袖選びや着方のポイントを紹介!

成人年齢が18歳に引き下げられてはじめての新成人も多いのではないでしょうか?
大学受験等も重なる中で、成人式の準備を進めていくのが大変な方も多い事でしょう。
でも大丈夫!
この記事を読めば、振袖選びの知識や準備をまるっと理解できますよ。
後半では振袖に関するQ&Aもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
目にも華やかで楽しい振袖選びの参考にしてくださいね。

振袖とは?

まず振袖とはどんな着物なのか、その歴史についてご紹介します。

振袖はミス(未婚女性)の第一礼装、つまり一番格式の高い着物です。
大きな特徴としては、「振り」と呼ばれる長い袖と、絵羽模様(着物を広げた時に縫い目に関係なく1枚の絵のように柄が続く事)の着物であるということです。

振袖は元々既婚・未婚を問わず若い女性用の着物で、一定以上の年齢になると着用しないものでした。
アンティーク着物の中に、たまに普段着の着物で袖の長い物があるのは、若い女性の着物として一般的だったためです。
現在も、未婚女性が振袖を着用するのは30歳前後が一般的です。

振袖が未婚女性の第一礼装になった経緯は諸説あります。
一説では1900年の大正天皇の結婚の礼をきっかけに、神前形式での挙式の普及しはじめたからと云われています。
当時富裕層を中心に人気となった神前式の挙式では、着用できるのは黒地の物のみとされていました。
そのため、婚礼にあたりお嫁さんの実家の家紋をつけた黒い引き振袖を仕立て、お嫁に行ったら”袖”を”留める”(切るという表現は縁起が悪いため)、留袖が出来ました。
現在でも黒留袖がミセス(既婚女性)の第一礼装になっているのはそのためです。
着物好きのミセスは、伝統に則って実家側の家紋で仕立てる方もいらっしゃいます。
当時は黒の引き振袖が、結婚式で未婚女性として最後に着る最上級の着物だったからこそ、現代でも振袖が第一礼装として残り続けているんでしょうね。
今の振袖も袖を切って訪問着や留袖として仕立てかえる事も可能です。
その場合は悉皆屋(しっかいや)さん(着物のなんでも屋さん)等に相談すると一番良い方法を提案してもらえますよ。

振袖の種類

振袖には3種類あります。
成人式などで一般的な、いわゆる”振袖”としてイメージされる着物は中振袖という振袖です。
袖の長さに関係なく、格式のある柄行きであればどの振袖でも第一礼装となります。

振袖の種類 特徴と着用シーン
大振袖
(本振袖)
袖丈114㎝前後
婚礼衣装等に用いられる
中振袖 袖丈100㎝前後
成人式等に用いられる
小振袖
(二尺袖)
袖丈85㎝前後
卒業式等に用いられる事が多い

振袖の文様・色柄

振袖には色々な柄がありますが、そのどれもがおめでたい意味を持った柄です。
最近ではレトロな柄付けの振袖や、お母様の着物を着用する”ママ振”、アンティーク振袖をあえて選ぶ方も多いので、今回は古典柄に多く使われる文様をご紹介します。
その中でも”吉祥文様”と呼ばれるおめでたい柄の一部を解説していきます。

束熨斗(たばねのし)

お祝い事に添えられる”熨斗鮑(のしああわび)”を文様化したものです。
細長い熨斗を束にして表したものが「束熨斗(たばねのし)」と呼ばれる文様です。
幸福や繁栄、この上なく縁起が良い事を表している柄になります。

縦長でモダンな印象の柄付けが多く、シャープな印象です。

四君子(しくんし)

菊、梅、竹、蘭の4種類の花がそろった文様のことです。
”君子”とは、礼儀・人徳・学識に優れた人のことで、その君子の特徴を4つの植物に例えた柄です。

草花の中でも優雅な花の柄なので、フェミニンな印象になりますね。

牡丹

大きく美しい花を咲かせる牡丹は「百花の王」とも呼ばれ、古くから人気のある柄です。
豪華絢爛・高貴・幸福といった意味を持つため富の象徴として描かれる事もあります。

大きな牡丹はゴージャスで華やかなコーディネートにおすすめです。

梅は奈良時代に中国から日本に渡ってきました。
丸く可愛らしい梅の花ですが、厳しい冬の気温に耐えて他の花に先駆けて咲く様子から、中国では「逆境に耐える、人生の理想」という意味を持ちます。
日本でも縁起の良い花として愛され万葉集の中でも多く詠まれています。

大小様々な大きさがありますが、丸く可愛らしい梅の柄はレトロでキュートな印象です。

菊は仏花(墓参りや仏壇に供える花)のイメージがありますが、古くから長寿の意味を持つとっても縁起の良い花なんです。
菊水という菊のお酒は不老長寿の秘薬であると言い伝えられ、その菊水をモチーフとした能の演目もあるほどです。
昔から愛されて様々な柄付けが生まれました。

”乱菊”という大ぶりな菊柄はゴージャスでカッコいい印象、”菊尽くし”という色々な菊が描かれたものは華やかで可愛らしい印象など、菊柄だけでも柄によって印象は様々です。

桜は日本の国花として有名ですね。
一斉に咲き誇る様子から、繁栄や豊かさという意味を持ちます。

大きな柄になることは少ないですが、上から下まで描かれることが多いので総柄のような豪華な印象です。

振袖の着用シーンと合わせる帯や小物


振袖というとまず代表的なのが成人式での着用ですね。
成人式は式典でもありますが、いわゆるパーティーに近いイメージで自由な場合が多いです。
コーディネートとしては振袖(着物)、袋帯(帯)、重ね襟、帯揚げ、帯締め、白足袋、草履という基本セットの他に半襟(長襦袢に縫い付ける襟)を刺繍の物にしたりファーのショールを合わせたり、と自由にコーディネートをしていきます。
中には草履ではなくブーツや靴を履いたり等ミックスコーデも見受けられます。
成人式では”自分が主役”なので、基本のTPOさえ守れていれば自由なコーディネートを楽しめます。
ですが、振袖の着用シーンでは自分が主役ではない場合もあるので正式なTPOに則ったコーディネートをする必要があります。
TPOを知っておくことで、できることも広がるのでぜひ覚えておきましょう。

お正月・初詣で着用する


お正月や初詣も代表的な振袖の着用シーンですね。
初詣というのは、イベントごとではありますが「神様への新年のご挨拶」というのが本質です。
あまり崩したコーディネートではなく、少しすっきりとまとめましょう。
刺繍の半襟も華やかで素敵ですが、色付きの物や豪華な刺繍の物よりは白地に白い糸で刺繍された物もありますのでそういった少しすっきりしたコーディネートにすると悪目立ちせず良いでしょう。

また、初詣では寒い中屋外で過ごす時間が長くなるので、防寒対策もしっかりとしていきましょう。
ファーのショール等は殺生を連想するので、お寺へのお参りでは避けた方が無難です。

顔合わせ、結納で着用する


華やかな振袖は、新婦としてはもちろん、出席者としても喜ばれるでしょう。
年齢が若い場合は半襟等を工夫して少し華やかなコーディネートにしても良いでしょう。

顔合わせ、結納では畳の場所で行われる場合も多いため足袋は白いものをおすすめします。
足袋で歩く事に慣れていない方は滑り止め付きの足袋を履くと安心ですね。

両家顔合わせや結納で振袖を着る場合は特に正式なTPOに則った着こなしをしましょう。

卒業式で袴に合わせる


成人年齢が18歳に引き下げられたことで、高校の卒業式までに振袖を揃える方も多くなりそうですね。
成人式で着用した振袖を袴に合わせて着用することももちろん可能です。
その場合、袴周りの小物をレンタル・購入することになると思います。
必要になるのは、袴・袴下帯(半幅帯)です。
袴下帯(半幅帯)は袋帯の半分の幅で作られている帯で、普段着の着物にも締められる帯です。
着物に興味がある方や普段着の着物をもっと着てみたい方は帯にもこだわってみては?
博多織の帯はゆるみにくく、コーディネートもしやすいのでおすすめです。

袴は着物に合わせてコーディネートした方が良いので、購入の場合は同じお店に相談するのもおすすめです。
色や柄のあるものも沢山あるのでお気に入りを見つけましょう。

また袴の場合、草履を合わせるのもかわいいですがブーツを合わせるのもおすすめです。
レトロな女学生スタイルもかわいいですね。

校則等もあると思うのであまりゴージャスにはできないかもしれませんが、せっかくのハレの日なので、着物を楽しみましょう。

振袖の選び方


最近は色々な柄の振袖があるので、お気に入りの着物に出会うのも大変ですよね。
着たい着物の柄のモチーフを一番最初に決めておくとその後の色や柄行きも選びやすいですよ。

~身長によっての選び方~

身長 おすすめの柄行・コーディネート
160㎝~ 〇肩回り、裾に大きな模様のある物 ×細かい総柄
・帯は反対色がおすすめ
150~160㎝ 〇全体に柄のあるもの ×特になし
~150㎝ 〇縦長に柄付けされている物 ×裾周りに大きい柄のあるもの
・帯は同系色にすると脚長効果

~体型によっての選び方~

体型 おすすめの色・柄行・コーディネート
ふくよか


やせ型

濃い色の物 縦に柄が流れる桜吹雪や束熨斗柄 帯は着物と反対色が〇

明るい暖色系の膨張色 総柄等の細かい柄物 帯は同系色が〇

パーソナルカラーを選ぶ


パーソナルカラーを知っておくことで、振袖選びだけではなく服やアクセサリー選びのポイントになります。
自己判断で難しい場合もあるので、サロンなどで診てもらうのもおすすめです。
肌の色は年齢によって大きく変わることはなく一生使える知識なので、成人式をきっかけに自分のパーソナルカラーを知っておくと良いでしょう。

パーソナルカラー アクセサリー 似合う色

イエローベース


ブルーベース

イエローベース
オータム
ゴールド
イエローベース
スプリング
ブルーベース
サマー
シルバー
ブルーベース
ウィンター

なりたいイメージを決めておく

「漠然と色々な着物を見せられても、正直選びきれないな…」
ということもあるかと思います。
成人式は一生に一度、お誂えの場合でも一生のうちで振袖を仕立てる事はそう多くないでしょう。
写真にも残る思い出の1枚にするために、しっかりとなりたいイメージを固めておきましょう。
好きな色や柄などを絞って探していくのもおすすめです。
また、最近では自分だけのオリジナル着物を作成してくれるサービスもあります。
こだわりのある方は検討してみては?

第三者のアドバイスを聞いてみる

自分の好きな色と自分に似合う色は異なる事も多いです。
迷ったときは第三者への相談をおすすめします。
ご家族やご友人はもちろんですが、レンタルや購入する先の店員さんに意見を求めてみると良いでしょう。
思わぬ色や柄がしっくりくる場合もあります。
その際にしっかり伝えられるよう、なりたいイメージをきちんと持っておくことも大切です。

振袖は購入orレンタル?

「振袖は一生もの」という考えもありますが「何度も着ないのに購入するのもな…」と思う方も多いでしょう。
ここからは購入とレンタルそれぞれのメリットについてお話します。

購入のメリット

  • 自分の物になる
  • 今後も着ることができる
  • 思い出として残る
  • 受け継いでゆくことができる
  • レンタルよりもこだわったデザインの物を探せる

 

レンタルがおすすめの人

  • 保管の必要がない
  • 前撮りと成人式で違う着物を着ることもできる
  • そのまま返すだけだから楽
  • セットになっていてコーディネートに悩まなくて済む
  • 写真館独自の着物が着たい

 

ママ振がおすすめの人


「ママ振(ままふり)」とはお母様が成人式で着た着物を娘様が受け継ぐ事です。
お母様だけでなくおばあ様の物を着る方もいます。
中にはひいおばあ様の着物で100年近く前の物…なんてことも!
最近はレトロブームな事もあり、古典柄の描かれたお母様やおばあ様の振袖を自分らしくコーディネートしている方も多く見受けられます。
小物や帯だけの購入やレンタルで一式購入するよりも費用が抑えられて、ご家族の思いも受け継げる素敵な文化ですね。
ただし、おうちに眠っている振袖の場合はシミやアクが出ていたりカビが生えている場合も…。
クリーニングできれいにできる場合もありますが、どうしても汚れが落ちない場合や、そもそも地色が好みでない場合はリフォームするのもおすすめです。
色変えをすることで、より自分らしい着物に生まれ変わります。
古いものを受け継ぎながらも、自分らしくリフォームすることでより愛着がわきますね。

着ていた方と体型が異なる場合はお直しが必要になる場合もあります。
お直しは呉服屋さんでも受けてくれる場合があるので、一度相談してみましょう。

振袖着用時&保管時の注意点”着物のお手入れに関しては

着用前後は点検&虫干し


振袖を着て歩くと、慣れない方はすごく疲れると思います。
早く脱いで横になりたい…。でもちょっと待って!
一日着た着物は、汗が染みていたり見えないところに汚れがついている場合も。
脱いだら必ず点検&虫干しをしましょう。(虫干しとは、日陰にかけておくことです。)
点検もかねてブラシをかけておくと見えないホコリも取れます。

汚れやシミがついてしまったら、なるべく早くクリーニングやメンテナンスに出すのがおすすめです。

着物は立ち振る舞いに気を配ろう


振袖に限らず着物を着ているときは立ち居振る舞いには気を付けましょう。
洋服と違って袖口が広いことと、脇に身八つ口と呼ばれる開きがあるので手を挙げると腕や脇が丸見えになってしまいます。
手や腕を挙げるときは袖口を抑えて、肘より高く挙げないようにしましょう。
電車に乗る時等も、吊革ではなくバーをつかむようにすると良いでしょう。
また、振袖は普通の着物より袖が長いです。
椅子に座ると床についてしまい汚れの原因になりますし、うっかり踏んだりすると危険です。
椅子に座ったら袖は膝に置きましょう。
着物は身体に巻きつけて着るものですから、足を開くと気崩れの原因になります。

車に乗車する時は、足からではなくお尻から乗るようにすると足を広げずに済みます。

保管には桐たんすorきものキーパー

着物の保管には桐の箪笥が一般的ですが、現代のお宅にはないことがほとんどだと思います。
振袖の保管にはきものキーパーがおすすめです。

着物を購入すると大抵は”たとう紙(たとうし)”という紙に入ってきます。
着物をそれに入れたらそのままきものキーパーに入れておくだけで、湿気や虫食いから着物を守ってくれます。
正絹(しょうけん)の着物は、虫にとってのごちそうです。
防虫はしっかりしましょう。
桐の着物ケースもおすすめです。

きものキーパーと違い箱状なので着物に皺ができにくくなっています。
振袖は普段着の着物と違ってハレの日の着物なので、大切に保管しましょう。

振袖のQ&A

Q.無地の振袖と色無地は同じ?

A.無地の振袖もモダンでクールな印象で最近人気がありますね。
でも”無地の振袖”と”色無地”はそもそも違う着物です。
振袖に仕立てた時点で第一礼装という格式の高い着物になります。
ですが袖を切ることで色無地として着用できるので、仕立て替えを検討する方や長く着たい方にはおすすめです。

Q.夏の結婚式に振袖で参列してもいい?

A.せっかくお仕立てした振袖ですから、少しでも多く着たいですよね。
現代では”絽”という夏の生地で振袖を仕立てることは少ないため、TPOとしても普通の振袖を着用しても問題はありません。
ですが、夏向けの生地ではないため暑さは覚悟しておきましょう。
見えない肌着や長襦袢を夏物にしても、どうしても暑さは感じると思いますので、出来れば会場での着付けをおすすめします。
暑い夏は、少しでも着ている時間が短い方が身体にも着物にも良いでしょう。

Q.振袖を購入しても着用機会があるか不安。どこに着ていく?

A.振袖は格式の高い着物ですから、着用シーンの限られるものです。
結婚式やパーティー、親戚同士のちょっとしたお祝いや結納式など、探せば色々と着られるシーンもあります。
また、お友達同士で振袖ホテルディナー等を開催するのも楽しそうですね。
最近では着物好きさんの間で、マダムの振袖会も人気がありますので、イベント事をSNS等で探してみるのも良いと思います。
着付けに不安がある場合や、毎回美容室に行くのが面倒な方には簡単に着られる加工もありますよ。

まとめ

成人式ではじめて着物を着るor誂える、という方も多いのではないでしょうか?
沢山の色や柄の振袖を見ると華やかでワクワクしますね。
伝統や文化など重く堅苦しいイメージも強い着物ですが、実は個性的でとっても自由なものなんです。
一生に一度の成人式、振袖選びを楽しんでくださいね!
また、振袖をきっかけに普段着の着物にもぜひ興味をもっていただければうれしいです。