長野県の伝統的工芸品である「信州紬」。
信州紬は特殊で、長野県産の代表的な紬を一括りにして伝統的工芸品指定を受けたのですが、その中のひとつに400年の歴史を持つ戦国武将真田家ゆかりの「上田紬」があります。
つまり長野県の紬織物の総称が「信州紬」なのですが、まとめて一つの呼称で伝統的工芸品の指定を受ける産地は珍しく、基本的には産地ごとに認定を受けます。
そのため、「信州紬とか上田紬とか伊那紬とか・・・よくわからない」という声も多く見かけます。
今回は上田紬について、見分け方や産地による違いなどを深掘りし証紙の見方などを含めて「なるほど、これが上田紬だ!」と理解できるように解説していきますので、参考にしてみてくださいね。
※上田紬の着物レンタルについては4-1で紹介します。
上田紬とは?
上田紬は、江戸時代に信州紬の中で最も有名だった紬の着物です。
経糸に用いる生糸はしっとりとした光沢感とすべすべした風合い、緯糸に用いる真綿糸はほっこりした暖かい風合いがあり、組み合わせて織り上げるためそれぞれの糸の特徴が風合いに表れます。
さらりとした心地よい感触と、軽さ、丈夫さ、吸放湿性の高さという絹の特性に加え、落ち着きある光沢と独特の風合いが紬の持ち味です。
長野県の上田市で作られており、現代では化学染料や草木染めでも幅広い色を出せるようになりましたが昔は藍染系の縞柄が基調の着物だったため、「上田縞」「上田柳条(うえだじま)とも呼ばれていました。
柳条の由来は、中国で細い縞柄を「柳の枝のように細い」と表記していたためだといいます。
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江戸前期、井原西鶴が貞享5年に発刊した「日本永代蔵」の中でも「上田縞」として登場し、当時の人気がうかがえます。
上田紬は昭和50年(1975)年に「信州紬」として伝統的工芸品に指定されました。
「上田紬」は上田紬織物協同組合によって管理されており、組合の証紙には戦国武将真田家の家紋「六文銭」が用いられています。
上田紬織物協同組合
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『三裏縞』と呼ばれる頑丈さ
上田紬は別名「三裏縞(みうらじま)」「三裏紬」とも呼ばれていました。
丈夫さが特徴で、裏地を三回取り変えるほど着込んでも破れず着続けられるという表地が非常に丈夫で堅牢さが伝わるたとえです。
歴史的な由来から真田幸村のように丈夫だとも語られてきた上田紬は「幸村紬」と名が付いた着物もあるほど、目の細かい糸でしっかりと織り込む技法が丈夫さの秘訣のひとつです。
紬はもともと庶民が野良着として日常的に着用していた着物で、歴史的にも作業着としての丈夫さを兼ね備えてきました。
上田紬の柄といえば縞と格子
上田紬の柄は縞・格子が特徴で、シンプルで飽きのこない江戸時代から万人に愛されるデザインです。
昔は「上田紬=藍染の縞柄」のイメージでしたが、最近ではパステルカラーや現代的なデザインを取り入れる工房も増えています。
染色から織りまでの一連の工程をすべて自社工房の職人が行うのも上田紬の特徴で、自由度が高いため作り手一人ひとりの感性を思うがままに作品に表現している織物です。
上田紬×草木染『リンゴ染め上田紬』
丈夫さと縞・格子の柄が特徴の上田紬ですが、新たな特色として上田紬の可能性を引き出したのが「YouTuber伝統工芸士リョウマ」としても活動している小岩井紬工房の伝統工芸士小岩井良馬さんです。
信州上田の特産品である林檎に特化した草木染めを考案し、林檎の品種や分量、採取した時期や場所などで色の違いを染め分け、見事に上田紬らしさと上田の特産品林檎を融合させ、「りんご染め」として創作するようになりました。
2023年1月現在ではリンゴ染めによる上田紬は小岩井紬工房独自のものですが、「りんご染め上田紬」は上田紬の新たなブランドとしてその知名度は広がりつつあります。
※表記は「りんご染め」「リンゴ染め」「林檎染」など定まっていないようです。
【ふるさと納税】上田紬のりんご染めストール
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小岩井紬工房 上田紬のりんご染めストール
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上田紬と上田真綿紬の違いは?
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上田紬の中に、「上田真綿紬」と名のついた着物があります。
「上田紬」と「上田真綿紬」はどう違うのか?という疑問についてですが・・・
結論:同じ物です。
真綿紬の定義は真綿から紡いだ糸、つまり「紬糸」を用いて織られた着物を指します。
たまに真綿を「綿(めん)」=木綿と考える方もいるようですが、真綿とは繭を綿(わた)状にした絹糸なので正絹の紬です。
そうなると、「紬」と名のつくものがすべて真綿紬なのか?と思うのですが答えはNOです。
現代で真綿から紡いだ「紬糸」で織られた紬の着物は上田紬の他にもたくさんありますが代表的な織物は「結城紬」です。
ほっこりとした暖かい風合いのイメージがありますが、それこそが「真綿紬」のイメージとなります。
真綿紬に該当しない紬の着物は、「大島紬」や「牛首紬」など糸の種類・製糸工程が異なる紬です。
上田紬の歴史
上田紬のはじまりは400年も前に遡るといわれています。
2016年に大河ドラマ「真田丸」が放映され話題になりましたが、実は真田家と非常に縁深い着物なのです。
真田家との関係や歴史を見ていきましょう。
戦国武将真田家の「真田織」と「上田紬」
上田紬は今より約400年前、上田城を築いた戦国武将真田昌幸が地場産業として奨励した真田織から着想を得て織られたのが始まりで、上田紬として形が出来上がったのは小諸藩の上田藩移封廃藩後に仙石忠政が上田藩藩主を務めていた1620年代頃と言われています。
真田織とは「真田紐」に用いられている技法で、「紐」とつくため組紐と混同されることも多いようですが経糸と緯糸を機織で織り進める歴とした織物です。
現代では帯締めや三分紐の他、バッグの持ち手などに使われています。
↓真田三分紐・モザイクシェル帯留セット
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ガムテープやビニール紐がなかった時代に、伸縮性がなくしっかりと重い物でも固定できた真田紐は強靱さを活かし刀を腰に付ける下緒としても用いられていました。
真田織の丈夫さは打ち込みが秘訣
伸縮性のある組紐と真田紐を織り上げる技法「真田織」の違いは製作工程にあります。
組紐は3本以上の糸や糸の束を交互に組み上げた紐のこと、真田紐は経糸と緯糸を機織り機で直角に交差させて織っていく織物です。
緯糸を強く打ち込み圧縮しながら織るため、ほとんど伸縮性のない丈夫な織物となるのですがその真田織の技法を着物に応用して完成したのが上田紬といわれています。
養蚕国への輸出も担う『蚕都上田』
「絹の国」と呼ばれている日本は、江戸時代末期に開国し欧米諸国と本格的に貿易を開始しました。
そのときに輸出品で取り扱い量が一番多かったのが生糸で、国内産の生糸の半数以上が輸出されていたといいます。
長野県上田市は長野県東部に位置し、生糸の積出港である横浜への経由地だったため、養蚕と製糸で栄え「蚕都上田」と呼ばれた都市です。
特に「蚕種」である「カイコの卵」の生産地として有名だったことから、ヨーロッパの養蚕国であるイタリアやフランスにも輸出されるほどでした。
【関連書籍】
時代考証家のきもの指南 歴史・文化・伝統がわかる / 著・山田順子
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蚕都上田について詳しく知りたい方には、こちらの本がおすすめです。
着物文化の復興について長野県上田市を例に書かれていますので興味のある方は是非読んでみてください。
『江戸三大紬』に数えられた上田紬
「日本三大紬」に数えられる紬は時代や地域によって諸説ありますが、江戸時代の上田紬は「大島紬」「結城紬」と並び蚕都上田の名前が全国に轟いていたことも相まって「江戸三大紬」のひとつとして有名でした。
江戸時代には徳川幕府による奢侈禁止令で衣服の規制が厳しく、庶民が絹織物を身につけることはできませんでしたが、紬は屑繭から成る織物で生糸ではなかったために容認されていました。
庶民にとって絹織物をまとえるのは嬉しいことで、最高級の織物として庶民に愛されており文化文政年間は上田紬の隆盛期だったといいます。
上田紬の生産工房
着物は養蚕から糸を紡ぎ、糸を染め織り上げるまで多くの工程を踏みます。
上田紬は一連の工程をひとつの工房で完結するのが特徴で、現在上田紬を守っている織り元は主に3軒です。
他にも着物がメインではないものの上田紬の製織に携わっている工房が2軒、合わせて5軒の工房がその技術を守っており、工房ごとの特色やこだわり、取り組みなどを紹介していきます。
小岩井紬工房
地元特産品を活かし上田紬のブランド価値向上をめざしているのが、先述した林檎染を製作している小岩井紬工房です。
現在3代目にあたる小岩井良馬さんと姉のカリナさんが姉弟で営んでおり、林檎染は弟の良馬さんが発案しました。
多くの工房が機械織りに移行する中でも手織りにこだわり、その信念は織の着物の中でも特に手織りが難しいとされている「御召」に象徴されています。
他の産地では機械織りが当たり前で、織る力が均等でないと波打ってしまう非常に手間暇のかかる織物にもこだわりを貫くのが小岩井紬工房の姿勢は、着物だけにとどまらず地元企業へも伝わっています。
上田市の電気機器メーカーHIOKI(日置電機)からの依頼で上田紬のオリジナルタペストリーを製作しており、伝統ある上田紬を通して上田市を盛り上げる地元愛を感じます。
【工房情報】
所在地:長野県上田市上塩尻40
TEL:(0268)22-1927
YouTuber伝統工芸士リョウマ
小岩井良馬さんはYouTuber伝統工芸士リョウマとしての顔も持ち、上田紬の魅力をはじめ作り手目線で着物に関する知識や情報を発信しています。
製造工程を詳しく解説している動画などもありますので、興味のある方は是非ご覧ください。
藤本つむぎ工房
上田紬の工房で唯一社内に縫製室を持ち、染織から縫製まで一貫して行う「藤本つむぎ工房」では庶民の着物としての上田紬製作にこだわっています。
商品製作の内製化、問屋を介さない直接販売はいずれも中間マージンのカットに効果的で「質の高さは保ちつつ、省ける部分は省き、できるだけ価格は抑えて着物が着やすい環境にしていきたい。紬はもともと庶民の着物、僕らがつくっているのは芸術作品ではありませんから」と語る佐藤元政さんは絹を活かしたオリジナルの洋服制作も手掛けています。
洋服を通して絹の良さを知ってもらい着物に興味を持ってもらうきっかけとして始めた取り組みだそうで、「変化してこそ伝統は継承される」という信念のもと上田紬を次世代へ繋ぐため日々奔走しています。
【工房情報】
所在地:長野県上田市常田2-27-17
TEL:0268-22-0900
まつや染織
「主役は着物でなくて着る人。その人の良さを引き出すためには着物が勝ってはいけない」と語るのは糸づかいに非常にこだわりを持つ「まつや染織」の小山憲市さんです。
デザインやファッション性がどんなに優れていても、着心地の良さがよくなくてはタンスの肥やしになるからと、糸の種類・組み合わせ・密度・配列など・・・徹底的に糸づかいにこだわり作品を生み出しています。
こだわり抜いた上田紬を年に数回、全国各地のギャラリーで開催する個展で展示したところ、「上田紬で成人式の振袖を織ってほしい」と依頼されたこともあるそうで、本来庶民の着物だった紬が現代ではハレの日に選ばれるほど価値は変化しています。
【工房情報】
所在地:長野県上田市住吉257-11
TEL:0268-24-6070
織処 丸重
40歳で創業した創設者髙澤重雄さんが代表を務める「織処 丸重」の売りは、技術力を象徴する製品、白生地です。
上田紬のように先染めの着物は、織る前に糸を染めるため小さなキズや汚れは目立ちませんが、後染めの着物にとってわずかなキズやムラはダイレクトに仕上がりに影響が出るため許されないものです。
上田紬を織り上げる傍らで、同業者からも頼りにされる技術力を活かし絹だけではなくアルパカやカシミア、綿や麻など多種多様な糸や織り方でオーダーを受けています。
絹業者として繊維素材研究会として絹の新規用途開発、製品開発を目的として発足した「ナガノハンドシルク協同組合」の代表理事を務めるなど、長野県の絹開発を引っ張る工房でもあります。
【工房情報】
所在地:長野県長野市篠ノ井会892-2
TEL:026-293-9680
高澤織物
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企画力と技術力の高さを海外でも認知され、誰もが知るフランスのラグジュアリーブランドのコレクション用生地も手掛けたのは、大正から続く高澤織物の3代目・高澤史納さんです。
上田紬の製織の傍らで主力となっているのはオーガニックコットンや絹100%のストールだそうで、イベントの際にはコースターの手織り体験を開催することもあります。
【工房情報】
所在地:長野県長野市篠ノ井会223
TEL:026-293-3455
上田紬に関係する証紙
実際に「伝統的工芸品に指定された信州紬のひとつである上田紬」だと判別するには、証紙が必要です。
着物の証紙は非常にわかりづらく、「〇〇紬」と書かれていても認定を受けていない着物だった・・・ということはざらにあります。
例えば「〇〇市で織った紬なので〇〇紬」と名乗ること自体はどの着物でもでき、「〇〇紬」が商標を取っていない場合なんら間違いではないからです。
基本的には品質管理やブランド力向上が組合発足の目的ですが、近年ではSNSの発達によって作家さんや職人さんが自ら発信している場合もあり、組合に入る必要性がなくなっている産地や着物もあります。
必ずしも「証紙」がすべてではありませんが、伝統的工芸品に限っては証紙の威力は絶大で、ある程度金額の指標にもなります。
品質を保証する上ではかかせませんので参考にしてください。
上田紬織物協同組合
参照元:小岩井紬工房公式HP
現在の上田紬は「上田紬織物協同組合」によって品質管理されており、組合の証紙には戦国武将真田家の家紋「六文銭」が用いられています。
上田紬織物協同組合
伝統的工芸品「信州紬」証紙
六文銭の左に貼ってあるのは、「信州紬」であることを示す証紙です。
左隣の伝産マークと合わせて「伝統的工芸品の信州紬」であることを証明しています。
伝統的工芸品の証「伝産マーク」
参照元:伝統的工芸品産業振興協会
国の伝統的工芸品に指定された織物に付与される通称「伝産マーク」は、経済産業大臣指定伝統的工芸品のシンボルマークです。
厳格な指定要項が設けられており、申請のうえ下記の要項を満たしていると判断された工芸品のみ「伝統的工芸品」に指定されます。
1:主として日常生活で使われるもの
2:製造過程の主要部分が手作り
3:100年間以上継続された伝統的技術または技法によって製造
4:伝統的に使用されてきた原材料
5:一定の地域で産地を形成
上田紬は「信州紬」としてこの要項をクリアし、昭和50年2月17日に伝統的工芸品に指定されました。
生産工房・織り元証紙
一番左に貼ってあるのが、着物がどこで生まれたのか織り元を示す証紙です。
下記は小岩井紬工房生まれの信州紬のひとつ、上田紬であることがわかります。
この証紙はいわば出生を明示する証紙なので、単独では「伝統的工芸品」であることや「上田紬」であることを明示する証拠にはなりません。
工房ごとにこだわって作成しており、もちろん変更されることもありますが、大抵管理番号や組合登録番号などが反物の証紙のどこかには書いてあるはずなので照会して調べられる場合が多いです。
各工房の名刺のようなものなので、どんな由来があるのか、どんな想いで証紙を作ったのか・・・想いを馳せるのも楽しいですよ。
上田紬の着装・手織体験・工房見学はできる?
上田紬の成り立ちや織り元を紹介してきましたが、実際に織上がった上田紬を見るには取り扱い店舗に出向くしかないのでしょうか?
着物屋さんの催事などで見る機会もありますが、自身の都合で上田紬に触れたい場合は信州上田で体験できる上田紬のレンタルや機織体験がおすすめです。
実際のプラン内容や実施工房を紹介しますので、上田市を訪れる際には是非立ち寄ってください。
【着物レンタル】ゆたかや
上田市を代表する上田紬を体験するなら、長野県上田市に構える呉服屋「趣味のきもの ゆたかや」の上田紬レンタルプランがおすすめです。
通常の着物レンタルショップで正絹の着物自体取り扱いが珍しいのですが、こちらの店舗では上田紬の美しさや着心地を実際に着用して街歩きを楽しんで欲しいという想いからレンタルに取り組んでいるそうです。
上田紬着物・襦袢・名古屋帯または半幅帯・足袋・草履・巾着・着付け小物と、レンタルして街へ出るために必要なものがすべてセットで着付けもついた安心プランが4,400円(税込)~利用できます。
信州上田を訪れた際には是非体験してみてください。
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【店舗情報】
所在地:長野県上田市中央2丁目2番16号
電話番号:0268-24-5298
営業時間:9:00 ~ 17:00(返却17:00迄)
【機織・見学】小岩井紬工房
「長い時間織りを楽しめたら・・・」というお客様の声から生まれたのが、小岩井紬工房の「織りの休日倶楽部」です。
2015年から始まった上田紬シルク100%のストールを織るワークショップで、3月頃~11月頃まで月1回ほどのペースで開催しています。
午前10時開始で、1日で完成するのか不安な方が多いそうですがほとんどの方が17時頃には織り上げているそうで、長引いても18時まで延長が可能なので自分のペースで機織体験を楽しめます。
参加費は9,800円(税込)で一日がかりなためお弁当や飲み物、15時のおやつも付いており、機織体験と同時に信州上田のグルメも楽しめますよ。
他に40分程度で完成する花瓶敷織り体験(2,500円)や工房見学も可能なので気になる方は問い合わせてみてください。
【工房情報】
所在地:長野県上田市上塩尻40
TEL:(0268)22-1927
【機織体験】藤本つむぎ工房
上田市常田の藤本つむぎ工房では、27×17センチのオリジナル作品づくりが楽しめます。
90分ほどでテーブルセンターや花瓶敷きに最適な作品が織上がるので、是非チャレンジしてみてください。
◎90分/2,500円(織糸代・指導料込)
【工房情報】
所在地:長野県上田市常田2-27-17
TEL:0268-22-0900
上田紬以外の信州紬
上田紬は「信州紬」のひとつである、と解説してきましたが具体的には他にどんな着物が含まれるのでしょうか。
信州紬に含まれる代表的な着物の特徴をそれぞれ紹介します。
伊那紬
天竜川の流域に位置する伊那谷では江戸前期、紬糸を生産して出荷していましたが上田紬などの発展を見て江戸後期には「伊那紬」としてブランドを確立します。
伊那紬は太さの違う糸や節くれた糸を組み合わせるのが特徴で、織り上がった伊那紬は上田紬に比べて柔らかく素朴で、丈夫でありながら滑らかな生地になるのです。
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1970年代には県内に120軒ほどの伊那紬の生産工房があったそうですが、現在では駒ケ根市に構える1910年創業の「久保田織染工業」が唯一の織り元となってしまいました。
現在は着物だけでなくカードケースやストールなどの小物類も人気で久保田織染工業でしか生産されていないため、気になる方は早めに手に入れるのがおすすめです。
飯田紬
伊那紬と同じく、上田紬の発展を機に生産が始まったのが「飯田紬」です。
飯田紬は山野に自生する植物を用いた100%草木染のやさしい色合いと素朴な風合いが特徴で、柔らかく味わいのある格子柄は「飯田格子」と親しまれています。
強靱な上田紬は真田織の技法と同じく打ち込みによってその丈夫さを出しますが、飯田紬は真綿本来の柔らかい風合いを活かし、経糸は極限までたゆませながら打ち込みます。
この一手間で生地に凹凸感を生み出し、空気を含んだ柔らかい風合いに仕上がるのです。
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かつては30軒以上あった飯田紬の生産工房も、現在は飯田市内に構える「廣瀬草木染織工芸」が唯一の織り元となっています。
松本紬/山繭紬
長野県松本市で織られている「松本紬」は飯田紬や伊那紬と似た風合いですが、特筆するべきは松本紬に属する「山繭紬」です。
緑色の繭を作る「天蚕(やまこ)」から繰った糸を原料に使っており、非常に軽く着やすい反面、親・子・孫の三代にわたって着られるほど丈夫だと言われています。
天蚕糸は白みがかった半透明の色としなやかさ、強度が特徴で「繊維のダイヤモンド」と謳われており、野生の繭から紡ぐため飼育が難しく非常に希少価値の高い糸です。
その性質から染色が非常に難しいといわれており、多くは織物の一部分やストール、ネクタイなどの小物に用いられることが多いのですが、贅沢に着物一反に糸を使用した山繭紬は信州だけの特産品です。
まとめ
信州上田の魅力をたっぷり詰め込んだ上田紬は、丈夫な表地と職人が丹精込めて研究し、計算され尽くした着心地の良さが魅力です。
伝統的工芸品に指定されても尚、上田紬のブランド力や魅力を向上させるために日々奮闘する職人たちの姿には胸を打たれます。
上田紬について更に詳しく知りたい方は、是非着物レンタルや工房見学を活用して造詣を深めてください。
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紹介した工房・ショップ一覧
小岩井紬工房
藤本つむぎ工房
まつや染織 / 織処 丸重 / 高澤織物
趣味のきもの ゆたかや
紹介した商品一覧
小岩井紬工房 特選手織り信州上田紬着尺
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【ふるさと納税】上田紬のりんご染めストール
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小岩井紬工房 上田紬のりんご染めストール
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信州上田紬 特選上田真綿紬着尺
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真田三分紐・モザイクシェル帯留セット
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時代考証家のきもの指南 歴史・文化・伝統がわかる / 著・山田順子
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高澤織物 上田紬単衣夏物着尺
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手織「伊那紬」訪問着
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廣瀬草木染織工芸「手おりの中の手織」信州飯田紬着尺
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