木綿の代表『久留米絣』ってどんな着物?特徴や値段の違い、着用シーンや洗い方について解説

木綿の代表『久留米絣』ってどんな着物?特徴や値段の違い、着用シーンや洗い方について解説

日本を代表する木綿の織物『久留米絣』。
丈夫で着心地がよく、長く日本人の普段着として親しまれてきました。
温かみのある独特のかすれた紋様は、現代でも多くの方に愛されています。

しかし、
「久留米絣の特徴って何?」
「木綿の代表と言われるのはなぜ?」
「久留米絣はいつどんな場面で着られるの?」
など、実は久留米絣についてよく知らないという方も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、久留米絣の基本から値段の違い、長持ちさせるための洗い方についてまとめました。
最後には体験や見学ができる工房もご紹介します。

本記事を最後まで読めば、時を超えて愛される久留米絣人気の秘密がわかりますよ。
重要文化財であり、伝統工芸品である久留米絣の世界に足を踏み入れるきっかけになれたら嬉しいです。

久留米絣とは?

久留米絣は、福岡県南部の久留米市を中心とした筑後地方で生産されている織物です。
備後・伊予とともに、日本三大絣の一つとも呼ばれています。

括り(くくり)の技法で染め分けた絣糸を使って織られた紋様は、複雑かつ繊細。職人の誇りを随所に感じられます。
綿素材なので夏は通気性のよさで涼しく、冬は保温性のよさで温かく感じられ、普段着として重宝されてきました。

1957年に木綿では初めて国の重要無形文化財に指定され、1976年には経済産業大臣から伝統工芸品にも指定されています。
着れば着るほどに味わい深くなる風合いと、藍色の素朴な美しさで現代も多くの方を魅了している伝統工芸品です。

『絣(かすり)』とは?

絣とは、絣糸で紋様を表す織物の技法で、着物の柄そのものを指す場合もあります。
表現する紋様に合わせ、部分的に染まらない加工を施してから染めた糸を作ってから織るのが特徴です。
輪郭が微妙にずれて独特のかすれが出る模様から名づけられました。

絣の技法は古代インドで生まれたと言われ、日本では江戸時代頃に普及したと言われています。
三大絣と言われる久留米・備後・伊予以外にも、大和や村山など、日本各地で生産され、昭和初期まで多くの日本人が着ていた普段着です。

『久留米絣』の定義と値段の違い

『久留米絣』と名乗るために条件が決められ、工程などの違いによって、以下の3つに分けられています。

・重要無形文化財としての久留米絣
・伝統工芸品としての久留米絣
・久留米絣

久留米絣の反物にはそれぞれの品質を保証する証紙が付けられており、私たち消費者が購入する際に見分ける大切なポイントです。
工程や材料、値段の違いについて、詳しく解説します。
重要無形文化財としての久留米絣
重要無形文化財として久留米絣を名乗るための条件は以下の通りです。

・手作業で括った絣糸の使用
・天然藍による染色
・投杼(なげひ)という織機を使用した手織り

厳しい条件を満たし、検査に合格した商品には、以下のような証紙が発行されます。

『絣(かすり)』とは?1
引用:認定条件について – 久留米絣協同組合|重要無形文化財「久留米かすり」の歴史と伝統

重要無形文化財の久留米絣の場合、値段は10万から数10万円です。中には100万円の値がつくものもあります。

また、絣糸を経糸と緯糸の両方を使用するか、緯糸のみかによっても値段は変わります。
より細かな紋様が表現できる両方使いの方が高価になる傾向ですが、見分けがつきにくいので、お店の方に尋ねてみるのもよいでしょう。
伝統工芸品としての久留米絣
『伝統工芸品としての久留米絣』は、重要無形文化財よりも少しだけ条件が緩和されます。
認められるための条件は以下の通りです。

・手作業で括った絣糸の使用
・天然藍による染色
・平織のもの
・伝統的工芸品としてふさわしい柄

条件を満たし、検査にも合格した商品には、以下のような証紙が貼られます。

『絣(かすり)』とは?2
引用:認定条件について – 久留米絣協同組合|重要無形文化財「久留米かすり」の歴史と伝統

伝統工芸品である久留米絣の値段は、5万円から10万円ほどです。中には数10万円のものもあり幅が広いですが、重要無形文化財よりも安価になる傾向があります。
久留米絣
現代に合わせた製法を取り入れている『久留米絣』は、普段使いに適しています。
条件は以下の通りです。

・先に染めた糸を使用して織った物であること(先染めの織物)
・機械織り

条件を満たした商品には、以下の証紙が貼られています。

『絣(かすり)』とは?3
引用:認定条件について – 久留米絣協同組合|重要無形文化財「久留米かすり」の歴史と伝統

機械織の場合はリーズナブルな場合が多く、値段は2万円から7万円ほどです。
しかし、値段が安いから悪い品というわけではありません。

機械の使用が許されていますが、工程はほぼ同じなので、歴史ある久留米絣を手頃な値段で購入できるのは嬉しいポイントです。
また、重要無形文化財や伝統工芸品では使用できない染料で染めたり、カジュアルな柄が使えたりと、他にはない魅力もあります。

特徴

久留米絣の特徴は以下の3点です。

・素朴でありながら緻密で美しい絣柄
・夏も冬も着心地がよい
・使うほどになじむ藍色の風合い

久留米絣で真っ先にイメージするのは、柄のかすれやにじみでしょう。
糸を括る作業から藍染め、織りに至るまですべて手作業で作られる柄は、素朴でありながら繊細で、温かみが感じられます。
大中小さまざまな大きさの紋様は、幾何学模様や絵画など、縁起の良い動植物や物がモチーフです。日本人の暮らしに寄り添って発達してきた歴史が垣間見えます。

綿素材で作られる久留米絣は、夏は優れた通気性で涼しく、冬は熱が内側にとどまって温かいため着心地がよいのも特徴です。
使えば使うほど肌に馴染み、味わい深さも増して美しくなるため、着て育てる楽しみがあります。

久留米絣の歴史

根強い人気の久留米絣ですが、現代まで順風満帆に歩んできたわけではありません。
ここからは、久留米絣の始まりから現代までに至る歴史をご紹介します。

12歳の少女『井上伝』から始まる久留米絣

久留米絣の始まりは1800年頃の江戸時代後期です。
井上伝という当時12歳の少女による発案が始まりと言われています。

色褪せた藍染の古着が模様のように見えることに興味を持った伝は、布を解いて理由を探りました。糸に白い斑点を見つけたことにヒントを得て、括ることで染めない部分を作った糸で織り、模様を生み出す方法を考案したのです。

その後、伝は生涯を通して技法を多くの人に伝え、久留米絣の発展に貢献し、40歳になるまでに弟子になった人は、1,000人以上とも言われています。

かすりを繋いだ功労者たち

久留米絣は、その後もさまざまな人たちの手により発展していきます。
絵や文字を表現する「絵絣」の技法を発明した大塚太蔵や、久留米絣の代表的な柄となる「小絣」を生み出した牛島ノシは、創始者である井上伝とともに、功労者として称えられている人物です。

久留米絣の柄には典型が存在しますが、地域によって異なる特徴や技術が現在でも残るのは、多くの人々の手によって成長していったためでしょう。

幕末の倹約令で全国に広まる

幕末に発令された倹約令により贅沢品が禁止され、久留米絣はさらに広まっていきます。
絹織物は取り締まりの対象だったため、庶民は綿織物を着るようになりました。
中でも、無地一色や縞模様ではない、模様入りの小洒落た久留米絣に人気が集まります。
社会情勢も手伝って、久留米絣の生産は全国に拡大していきました。

久留米絣同業組合の発足

1877年に起きた西南戦争が終わると、兵士たちが引き上げる際に久留米絣を土産として購入したために需要が急増。在庫不足を補うために急いで増産し、品質が悪化した時期がありました。

信用が落ちたことに危機感を覚えた有志たちが、信用回復のために立ち上がります。
生産者と販売者の証票をつけ、規約違反者には罰則を設けて、不良品の回収と交換にも応じるなどの努力を続け、危機を乗り越えました。

今まで1人で行っていた全行程を、農家や商家の女性に副業で織りを任せるようになったのもこの時期です。分業化によって技術も磨きがかかり、品質も高まっていきます。
明治30年代(1897〜1906年)に全国で機械化の波が押し寄せても、久留米絣は西南戦争で信用を失った経験から、手仕事へのこだわりを持ち続けました。

1886年には留米絣同業組合が設立され、久留米絣はさらに全国へと発展していきます。

戦争の苦境と伝統的工芸品としての発展

1920年の第一次世界大戦による戦後恐慌から始まった不況により、久留米絣は苦境に陥ります。
久留米絣の価格暴落や需要の激減により、一時は職人1,000人が失業、100以上の業者が廃業しました。

さらに、第二次世界大戦中の1933年には綿織物の生産が禁止されます。
技術保存のために発足した久留米絣技術保存会により技術が受け継がれ、戦後になると久留米絣も復活を果たしました。

重要無形文化財に指定された1957年には戦後の最盛期を迎えますが、庶民の間で洋服や化繊が広まり、久留米絣は再び苦境に立たされます。

しかし、昔のように着物の需要が少なくなった現代でも、久留米絣の存在感は変わりません。
和服だけでなく洋服やインテリア・雑貨などにも取り入れられ、姿を変えて日常に溶け込み、日本人に寄り添い続けています。

久留米絣の製造工程

緻密な柄を表現する久留米絣は特に複雑な工程と長い製造期間が必要です。
経糸と緯糸を合わせると30以上にもなる製造工程を、簡単にご紹介します。

デザイン作成

初めに行うのは、デザインの作成です。
出来上がりをイメージしながら図案を作ります。経験と磨かれた技が必要な、作者の個性が光る工程です。

起こした図案を元に、経糸(たていと)と緯糸(よこいと)の配分を決めて記入した絵紙(えがみ)と、糸が縮むのを考えて図案を書き直した下絵も作成。
手織りの場合は、緯糸を括るための指標となる絵糸書きも行います。筬羽(おさは)に張られた糸に、筆で墨付けを行う作業です。

整経(せいけい)と整緯(せいぬき)

デザインから絵紙までが終わると、工程は経糸と緯糸に分かれます。
整経は経糸の工程です。柄に合わせて絣糸と地糸の数を計算して台に巻き、糸を整えます。
緯糸の工程である整緯は、墨で書かれた絵糸に合わせて、整緯機に糸を張り、整える作業です。

糸たき・さらし・糊付け

糸たきは、苛性ソーダ水の入った水で煮沸して糸を強化し、不純物を取り除く作業です。精錬(せいれん)とも言われます。
さらしは、美しく染めるために糸を漂白する作業です。
糊付けでは、薄く麩糊をつけて天日干しを行い、糸が乱れるのを防ぐ役割があります。
3つの作業は、経糸緯糸両方で行われる大切な工程です。

括り

経糸・緯糸の柄を作る部分を括って染まるのを防ぐ工程です。麻の一種である粗苧(あらそう)の表皮を使用し、糸を堅く括っていきます。
機械括りの場合は、機械の動力で行いますが、手括りで行う場合、染色のときには解けず、染色後は解きやすいという卓越した技術が必要です。

作品の仕上がりに影響を与える重要な工程なので、多くの経験と熟練度が必要になります。

染色

括りが終わると、染色の工程に入ります。
使用するのは、徳島産の上質な藍(すくも)です。2〜3週間かけて完全発酵させる藍建(あいだて)を行い、染色可能な状態にします。

土に埋めた藍がめに、濃度の異なる染色液を用意。
濃度の低い下藍から中藍、上藍と順番に糸を浸してはしっかりと絞り、毎回叩きつけます。
括った端までよく染まるように糸を膨らませ、空気に触れさせることで藍が酸化し、発色をよくするためです。

糸を浸す・絞る・叩くという作業は50〜60回繰り返します。力加減に経験が必要な工程です。

紐ほどきと糊付け

染色後、2時間程水に浸して余分な染料やアク、不純物を取り除いたら、粗苧を解いていく紐ほどきに入ります。
乾燥すると白さがくっきりと表れないため、乾燥しない間に解く手早さが重要です。

すべて解ききったら水洗いをし、糊付けを行います。糸の毛羽立ちや乱れを防ぎ、糸の強化と織りやすくするためです。
糊を乾燥させたら、再び経糸と緯糸で工程が分かれます。

経割(たてわり)と留め合わせ

経割と留め合わせは、経糸のねじれを取り、長さを揃えながら柄に合わせて束ねていく作業です。柄合わせともいいます。

割り込み・筬通し(おさとおし)

出来上がりのデザインから起こした絵紙に従い、絣糸と括りのない地糸を組み合わせて並べていく作業です。
並べた糸を筬羽(おさば)と呼ばれる機織りにある薄い板に、端から通していきます。

経巻(たてまき)

経巻は、経糸を巻箱に巻いて固定する作業です。
重石も使いながら糸を強く引っ張り、模様を確認して丁寧に巻いていきます。
機織りの際に柄がズレないように同じ力で巻き取るのは、技術と経験が必要です。

管巻(くだまき)

管巻は、機織りの際に扱いやすいよう、竹管と呼ばれる専用の管に糸を巻いていく作業です。手織りの場合は、木綿車を使用します。

製織

ここまで終わってやっと製織に入ります。手織りと機械織、両者とも経験と技術が必要な作業です。

手織りの場合、投杼機(なげひばた)を使用し、柄を合わせながら織っていきます。
機織りで緯糸を通すために経糸を上下に開く綜絖(そうこう)の高さや、足で踏む力加減、筬の打ち方によっても製品の仕上がりが変わる、重要な工程です。

湯のし

織り終わったら、一度湯のしと呼ばれる湯通しを行います。生地を収縮させ、しなやかさを出すためです。
水洗いをした後、竿にかけて日陰に干します。

整反(せいたん)・検査

乾燥したら、織物を尺台に乗せて幅を整え、仕上がりを調べながら決められた長さに裁断します。
整反が終わった商品は、久留米絣協同組合での検査に出され、合格して発行された証紙が貼られると、久留米絣の完成です。

久留米絣でできた織物製品

久留米絣製品の筆頭である着物と、伝統を受け継ぎながら、時代のニーズに合わせて進化をし続ける商品を3つご紹介します。

着物

久留米絣の着物は、普段着の代表格とも言われ、憧れている方も多いのではないでしょうか?
洗濯可能なのも嬉しいポイントで、洗うたびに風合いが良くなり、味わい深くなります。
単衣で仕立てても冬でも暖かく着られるのが特徴です。

高価で手が届かないと感じた方は、反物ではなくすでに仕立て上がっているプレタの着物が比較的安く手に入るためおすすめです。
柄や色味も異なるため、自分の肌色や好みに合わせて選べます。

もんぺ

「もんぺ」と聞くと、戦時中や昭和のイメージがあり、ダサいと思っている方も多いかもしれません。
しかし、現代のモンペはファッションを彩るお洒落アイテムの1つとして人気が高まり、特に久留米絣の「MONPE」が話題になっています。

かつて女性が働くときに着るズボンだったモンペは、腰回りがゆったりとしていて裾がすぼまった形が特徴でした。
最近は細身で着心地の良いモンペが登場し、現代的なデザインも取り入れています。動きやすく、運動着や部屋着としてもおすすめです。

日本版のジーンズとしてTシャツやスニーカーに合わせ、カジュアルに着こなせます。

久留米絣のモンペは、ベビー用にも販売されています。
「もんぺっぺ」と名づけられた0~2歳用のモンペ。濡れても乾きやすく、風通しの良い久留米絣は、汗っかきで動き回る赤ちゃんにもぴったりです。

久留米絣の丈夫さを活かして、巾着袋にリメイクするサービスも2023年3月より開始しました。もんぺっぺが小さくなるほどお子さんが成長しても、幼稚園や保育園の通園用として使用できます。
長く愛用できる久留米絣の良さがぎゅっと詰まった商品です。

久留米絣ワンピース

久留米絣のワンピースも、モンペ同様注目されている商品です。
楽天市場やAmazonなどのネット通販でも、取り扱い商品が増えています。

凸凹があってさらりとした着心地なので、夏の暑い時期も着心地抜群。
生地自体が厚いため、透ける心配もありません。藍色の深い青がさらに涼しさを演出してくれます。
久留米絣の着物は着用できない真夏のお洒落着にもおすすめです。

久留米絣の着用シーン、お手入れ方法

ここからは、久留米絣の着用シーンとお手入れ方法をご紹介します。
久留米絣の着物を着る季節や、長く愛用するための注意点も解説していますので、ぜひ参考にしてください。

真夏以外着用OKな単衣着物

木綿素材の久留米絣は、生地が厚いため単衣で仕立てるのが一般的ですが、真夏以外であれば一年を通して着用が可能です。

木綿着物は基本的に盛夏には着られませんが、夏用の薄手の久留米絣もあります。
真冬は寒く感じる場合もあるため、下にモスリンや袷の襦袢を着たり、コートや羽織などをコーディネートしたりして防寒対策をしましょう。

久留米絣の着用シーン

久留米絣の着物は、結婚式や式典などのTPOを考慮しなければならないフォーマルな場面には向きません。
どんなに高価でも、絣はあくまで普段着です。カジュアルな着物として、友人との食事会や美術館鑑賞など、ちょっとしたお出かけに着ていきましょう。

▼木綿着物に関しては、こちらの記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

久留米絣の洗い方

丈夫で自宅で洗濯もできる久留米絣ですが、方法を間違えるとシワになったり、色移りしてしまったりするため、注意が必要です。

お洒落着モードを使用し、脱水し過ぎなければ、家庭の洗濯機でも洗濯できます。
しかし、久留米絣の風合いを長持ちさせたいなら手洗いがおすすめです。
手洗いの手順は以下の通りです。

1.ドライ用洗剤やお洒落着用洗剤と水を混ぜ、押し洗いをする
2.15~20分浸け置き
3.水を流しながら押し洗いで1~2回すすぐ
4.水から出して軽く絞る(脱水機を使用するときは早めに取り出す)
5.地の目をのばしておく
6.裏返しにして形を整え、陰干し

基本は水洗いで問題ありませんが、汗や臭いが気になる場合は洗剤を使用しましょう。
陰干しの際にシワをのばしておくとアイロンかけの手間が省けます。

また、色落ちや変色など生地の傷みをなくすために気を付けたい点を以下にまとめました。

・漂白剤・乾燥機は使用しない
・直射日光に当てない
・色落ちの可能性があるため、最初の数回は単独洗い

特に天然の藍で染めている久留米絣は、太陽光に当てると色褪せの原因になります。
干す際はもちろん、長期保存する場合も日光の当たらない暗い場所にしまいましょう。

汚れは見つけたらすぐに洗うのがコツ。無理して落とそうとすると生地が傷む原因にもなりますので、落ちない場合や気になる汚れは専門店に相談し、クリーニングに出すのがおすすめです。

着て洗うごとに風合いが増す久留米絣は、定期的な着用で最もよい状態を保てます。正しい洗い方で、久留米絣を長く愛用しましょう。

▼着物のクリーニングについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

久留米絣の工房見学や体験はできる?

久留米絣を生産する織元では、工房見学や体験を受け付けています。
予約をすれば日時の相談も可能な工房を、特徴とともにご紹介します。

森山絣工房

江戸時代の終わり頃となる1858年創業、現存する織元では最古の工房です。
伝統的な久留米絣や絣用の糸で編んだニットなど、時代に合わせた製品も販売しています。

地域でも最大級となる38本もの藍瓶を保有する工房見学のほか、藍染のワークショップも通年で受け付けています。

所在地 福岡県八女郡広川町新代109
アクセス JR・西鉄「久留米駅」よりバスで30〜40分
西鉄バス「川瀬」バス停より徒歩10分
体験内容と料金(税込) 工房見学
藍染ワークショップ
 ハンカチコース:2,000円
 マルシェバッグコース:5,000円
 Tシャツコース:8,000円
予約方法 電話:0943-32-0023
Email:info@aimoriyama.com
定休日 日曜・祝日・正月・お盆
ワークショップは通年で受付可能
営業時間 9:00~16:00

池田絣工房

天然藍染め、手織りにこだわる工房です。実際に職人が使用している染工場にて藍染体験や工房見学、併設の展示場ではショッピングも可能。

さまざまなスタイルの天然染料ワークショップを開催し、公式サイトでもお知らせしています。
イベント以外にも可能な限り対応してくださるので、まずは見学や体験の相談をしましょう。

所在地 福岡県筑後市久富1840
アクセス 九州自動車道八女ICから車で約10分
体験内容と料金(税込) 藍染体験と工房見学
※料金はお問い合わせください
予約方法 電話:0942-53-2416
FAX:0942-53-2416
Email:ikedakasuri@gmail.com
定休日 日曜日
※事前予約すれば対応も可能
営業時間 10:00~17:00

冨久織物

冨久織物は、「手織り」と「機械織り」の両方を生産する珍しい工房です。
機織り体験は卓上織機を使った体験が可能で、県内の高校やアメリカ・ニューヨーク州で体験ワークショップを行った実績があります。

久留米絣のイベントにも積極的に参加。
通年で予約に対応してくださいますが、都合によって難しい日時もありますので、まずは気軽に問い合わせましょう。

所在地 福岡県八女郡広川町大字太田1236-1
アクセス 九州自動車道広川ICから車で約5分
体験内容と料金(税込) ・工房見学
・機織り体験(卓上機織り使用):1,100円
・藍染体験
ハンカチ:1,000円
風呂敷:1,800円
予約方法 電話:0943-32-1048
FAX:0943-32-1048
※予約は通年で対応
定休日 不定休
※染体験は11~3月頃まで休止
営業時間 9:00~17:00

その他の工房

他にもおすすめなのは、以下4つの工房です。

・久留米絣 山藍
・藍染絣工房 山村健
・野口織物
・藍華 田中絣工房

久留米絣 山藍は、草木染めを一部に使う久留米絣が特徴です。
伝統的手法で作る久留米絣の反物も扱っており、藍染・草木染・織の体験ができます。

住所 福岡県八女郡広川町長延250-1
体験内容 藍染・草木染・織
営業時間・定休日 10:00~17:00
不定休
電話番号 0943-32-0150

藍染絣工房 山村健はモダンな絣模様が特徴です。
小さな工房なので、日程によって見学できない可能性があるため、1週間前までに電話連絡をしましょう。

住所 福岡県八女郡広川町大字長延241
体験内容 藍染・織の見学
営業時間・定休日 10:00~17:00
土日祝日
電話番号 0943-32-0332

野口織物は、現代的な製法を取り入れて久留米絣を生産する織元です。
明治時代から続く機械織専門工房で、貴重な機械織の体験ができます。

住所 福岡県八女郡広川町一条858
体験内容 機械織・工房見学
営業時間・定休日 8:00~17:00
土日祝日
電話番号 0942-52-3816

創業72年の藍華 田中絣工房は、自然をモチーフに曲線を生かしたデザインの藍染と手織りの久留米絣が特徴です。
久留米絣の技術を活かしてブランド展開するなど、新たな挑戦をし続けています。

住所 福岡県筑後市高江442-1
体験内容 藍染・工房見学
営業時間・定休日 10:00~16:00
土日祝日
電話番号 0942-52-4423

まとめ

素朴で温かみのあるかすれ紋様や、着るほどに手になじむ風合いが特徴の『久留米絣』。
1人の少女から始まり、苦境に立たされながらも現代まで受け継がれてきた歴史を持ちます。
多くの工程を経てできる反物を生み出しているのは、今も熟練の技術を持つ職人たちの手です。
普段着物を着る機会の少なくなった今でも、手入れのしやすさや丈夫さを活かしてさまざまな製品に使用されています。

古くから日本人の生活に寄り添い、時代に合わせて新たな進化を続ける久留米絣に、今後も目が離せません。