和装小物

2022.11.4

草履の選び方決定版!素材や特徴から見る草履の選び方・雨や痛いときの対策などを解説

草履の選び方決定版!素材や特徴から見る草履の選び方・雨や痛いときの対策などを解説

着物でのお出かけに欠かせない「草履(ぞうり)」。コーディネートのポイントとなる和装小物のひとつなので、洋服の靴と同じく楽しく選びたいものです。

今回は、着用シーンごとの草履の選び方や痛いときの対処法などについて解説します。
草履を選ぶにあたり、

「どの着物にどんな草履を合わせたらいいの?」
「雨の日に着物で出かける時の草履は?」
「草履の保管方法やお手入れの仕方を知りたい」

こんなお悩みをお持ちの方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。

草履とは?下駄との違い

草履とは?下駄との違い

草履は和装用履物のひとつです。
現代では着物で出かける際には「足袋+草履」を履くのが基本となっており、フォーマル用から普段着用までさまざまな草履が存在します。
まずは草履に関する基本的な知識・草履の歴史や特徴、下駄との違いについてまとめました。

草履の原型

草履の原型は、現代のビーチサンダルのような形状につま先だけに緒がついた履物でした。日本人が履物を履き始めたのは平安時代。草履の原型である履物は「裏無(うらなし)」「緒太(おぶと)」と呼ばれ、平安時代中期から室町時代まで履かれていたとされています。

その後武士が台頭して戦乱が多くなると機能性の高い履物が求められるようになり、指で緒をはさむタイプの草履や鼻緒を紐で固定した草鞋(わらじ)が履かれるようになっていきました。「足半(あしなか)」と呼ばれる藁草履(わらぞうり)が出回ったのもこの時期です。

草履の歴史

鎌倉時代から戦後まで、日本では藁草履の一種である「足半(あしなか)」が履かれていました。
足のつま先部分のみの履物で足に密着し動きやすいことから、足軽や農作業をする人、戦場で動き回る武士にも好まれたといいます。

江戸時代になると、農民は稲の藁で草履をつくり、町では竹の皮やイ草で作る草履が普及していきました。その後、種類のちがう皮を重ねて作る「重ね草履(かさねぞうり)」や、草履の裏に平たく編んだ麻糸をとじつけた「麻裏草履(あさうらぞうり)」などが登場します。
男性用の履物としては、竹皮の表で裏に革を張りくぎを打った「雪駄(せった)」が出回りました。

現代の主流となるかかとの高い草履の形が誕生したのは明治後期。「空気草履(くうきぞうり)」と呼ばれる雪駄をもとにした草履が誕生します。空気草履とは、草履の表が友禅の別珍(べっちん)、裏が組麻(くみあさ)で作られたもので、ばね仕掛にして台の中間に空気が入ったようにしたものです。千代田草履(ちよだぞうり)とも呼ばれました。

昭和に入ると、それまで竹皮やイ草の植物繊維、フェルトなどの布だった草履の表に本革が使われるようになり、現代とほぼ同じ形態の草履となりました。

草履と下駄の違い

草履と下駄の違い
日本の伝統的な履物である「草履」と「下駄」には、どのようなちがいがあるのでしょうか。
答えは使用されている”素材”と”底面”にあります。

「草履」の素材は、牛革+コルクなどが中心。現代では、草履の台の中身がコルクで、革や布、ビニールをかぶせた草履が主流となっています。草履に使われる素材は軽く弾力があり、柔軟性があるため足にフィットし歩きやすいのが特徴です。

一方の「下駄」の素材は木。桐などを中心とした木製のため、草履とちがいカランコロンと小気味良い音がします。近ごろは歩きやすさなどを考慮して、底の木にゴムを貼ってあるタイプの下駄も。

ほかにも、草履と下駄は”底面”にも違いがあります。
草履の底部分がフラットなのに対して、下駄の底には基本的に「歯」と呼ばれる2つの突起があるのが特徴です。

草履はフォーマルから普段着まで着物全般の履物として使用できるのに対し、下駄は浴衣着用時がメイン。着用シーンにもちがいがあるのでおさえておきましょう。

女性物草履の形と格

女物草履には2種類の形があるのをご存知でしょうか?また、台の高さによって草履の格が変わるので、草履選びには注意が必要です。
ここでは、草履の形のちがいと台の高さによる格について、画像を交えながら見ていきましょう。

天型は『細型』か『小判型』

草履の天型(てんがた)=足をのせる台部分 の形には以下の2種類があります。

・細形(ほそがた)
・小判型(こばんがた)

それぞれの特徴について、画像を用いながら解説します。

|細形(ほそがた)

細形の草履は、すっきりとした細長い形の台が特徴です。
小判型の草履よりも台が細いため、脱いだときに華奢で可憐な印象を与えます。
東京では細形の草履が粋と好まれてきましたが、近ごろは小判型を選ぶ人も多くなりました。
|小判型(こばんがた)

小判型は、その名の通り小判のような楕円形をした台の草履です。
細形よりも台の幅が広いため、小判型の草履の方が歩きやすいとの声も。
実際にはどちらも歩きやすさはほとんど差がないので、好みで選ぶのが良いでしょう。

草履台の重ね芯による格式

草履の特徴のひとつである「重ね芯(かさねしん)」。
「草履は台が高いほど格が高くなる」と聞いたことはありませんか?
草履は台に芯を重ねることで底やかかとの高さを調節します。草履台に高さがあるほど格が高くなり、フォーマルな装いにふさわしい草履となるため、芯の高さは草履選びの重要なポイントです。

芯の種類は、つま先からかかとまで1枚につながった「通しの芯(とおしのしん)」と、足の真ん中からかかと部分のみに重ねる「半月(はんげつ)」の2種類があります。

一枚芯

通しの芯が1枚だけのシンプルな草履は「一枚芯」と呼ばれます。
普段履きのカジュアルな草履に多く見られます。
ただし、一枚芯でもかかとに高さがあり金銀を基調とした草履であればフォーマルなシーンでも着用可能です。

一の三枚芯

「一の三枚芯」は、通しの1枚芯+かかとに半月の2枚芯=計3枚の芯が重ねられた草履です。
程よい高さで格があるため、フォーマルな草履に多く見られるスタイルです。

三枚芯

「三枚芯」は、草履台に通しの芯が3枚重ねられています。
しっかりと高さが出て華やかさもあることから、成人式をはじめとする式典などにもふさわしい雰囲気です。

草履天の素材

草履天(ぞうりてん)と呼ばれる草履の台は、さまざまな素材で作られています。
見た目のちがいはもちろん、履き心地や着用シーンにもある程度の決まりが。
素材ごとのポイントを押さえておきましょう。

合皮

「合皮素材」の草履は、最もリーズナブルで気楽に履けるタイプです。
普段履きに最適で活躍の幅が広いため、一足持っているとなにかと便利。
欠点としては、寿命が5年ほどと短いこと。履かなくても時間の経過とともに痛んでくるため、着物で出かける機会が多い方にはコストパフォーマンス良好でおすすめです。

本革

現代の草履の主流となっているのが「本革」の草履。中でも牛革にエナメル塗装をしたエナメル草履はお手入れもしやすく人気です。
本革の草履は合皮と比べて耐久性が高く、グリップに優れているため歩きやすいのが特徴です。
洋服の靴と同じく合皮よりも高価なものが多いですが、しっかりメンテナンスをすれば長持ちするため親子2代にわたって履くこともできます。

天革

「天革」は、合皮と本革をかけ合わせた素材です。
足を乗せる上面を本革にすることで履き心地良く、側面を合皮にすることでコストカットを実現。
合皮と革の良いとこ取りをしたハイブリッドな草履です。

帆布

トートバッグなどに使用される「帆布素材」の草履もあります。
帆布は厚手で丈夫な素材のため、耐久性に優れ汚れにくいのが特徴。
また、帆布素材の草履は程よいフィット感があり滑りにくく、歩きやすいことから根強いファンも。

畳表

「畳表」の草履は竹皮を編んだもので作られます。
現代では女性用草履は本革素材が主流ですが、昔は畳表の草履が一般的でした。
男性の和装における正装で雪駄を履くことからもわかるように、畳表の草履はフォーマルシーンでも着用OK。
畳表の草履に礼装用の鼻緒をすげれば、留袖をはじめとする礼装にあわせて着用できます。

草履台(巻)の素材

「巻(まき)」と呼ばれる草履の台座部分の中身に使われる素材も実にさまざま。
巻に使われる素材により草履の履き心地が異なるため、自分好みの材質を見つけたいものです。
近年新しい素材も多く採用されているため、それぞれの特徴やおすすめのポイントを紹介します。

コルク

現代では、草履の台の多くに「コルク」が使われています。
コルクは非常に軽く、クッション性に優れているため着物でのお出かけを頻繁に楽しむ層から人気を集めています。
ただし、価格の安い草履の中にはコルクの粉を接着剤で固めた廉価版も。本物のコルクに比べかなり重いため、見極めに注意が必要です。

バルーン

草履台に大量に綿を入れた「綿入り草履」に代わり、クッション性を重視して開発された「バルーン」という素材が台に使われた草履も。
特殊な高反発の樹脂素材が入っているため、足が疲れにくいのがポイントです。
バルーン以外にも別の名称でさまざまなクッション素材が開発されており、草履の材料に取り入れられています。

ウレタン

最も手頃な価格の草履が「ウレタン」素材の草履です。
クッション性のある台で、雨の日でも着用できるものが多いのも魅力のひとつ。
扱いを気にせず気軽に履ける反面、鼻緒のすげ替えが利かないため使い捨て草履の立ち位置です。

EVA

スニーカーにも使われる「EVA」素材の草履もあります。軽くて歩きやすいのが特徴です。
新素材の草履とあって、機能性を重視する若い方を中心に人気を集めています。
草履の中でも比較的水に強く、雨の日のお出かけにも◎。

鼻緒の選び方

次に、台と同じく草履を選ぶ際のポイントとなる鼻緒の選び方について解説します。
鼻緒の色柄、雰囲気によって草履の着用シーンが変わるため、フォーマル用/カジュアル用の鼻緒のポイントは押さえておきたいもの。

また鼻緒の素材によっても履き心地に大きな差が出ます。柔らかい布製の鼻緒は足が痛くなりづらく、草履台に合わせた硬い合皮素材だと足に食い込みやすいため、材質も考慮して選びましょう。

フォーマル向けの鼻緒

フォーマル向けの草履の鼻緒は、

・金銀で台の色と同系色
・落ち着いた白や薄ピンクなどの淡い色

など、礼装にふさわしい華やかさときちんと感のあるものを選びましょう。
鼻緒の素材は佐賀錦、錦織などの金銀の帯地が使われたものや、エナメルなどが主流です。
同じ生地で作られた草履とバッグがセットになった商品もあります。

草履の台の高さは5cm以上が礼装にふさわしいとされています。

カジュアルには柄物も

普段に履くカジュアルな草履であれば、お好みで気に入ったものを選びましょう。
鼻緒や台に柄のついた可愛い草履も多くあります。
カジュアルシーンの草履に堅苦しい決まりはありませんが、小紋や紬などのカジュアルな着物に礼装用の草履を合わせるのはちぐはぐな印象になるため避けた方がベターです。

男性物草履の種類や格

男性用の履物にも種類や格にちがいがあり、着用シーンにより選び方のポイントがあります。
礼装には雪駄、それ以外のおしゃれ着には草履を履くなど決まり事があるため、基本的なルールを確認しましょう。

礼装には畳表×白鼻緒の雪駄

男性の礼装である紋付き羽織袴には、雪駄を履くのが一般的です。
雪駄はかかとに釘が打ってあり、歩くと「チャリッ」という独特な音がします。

一番格の高い正装用の履物は、畳表で白の鼻緒の雪駄とされています。

お洒落着に合わせたい草履

男性がお洒落着で出かける際は、着物や羽織の色に合わせて草履を選ぶとよいでしょう。
女物と同じくさまざまな素材、色柄の男性用草履が販売されているため、好みの一足を見つけるとお出かけが楽しくなりますよ。

草履のQ&A

草履は着物でのお出かけに欠かせないアイテムなだけに、悩みはつきものです。

・草履で足が痛い場合はどうするの?
・雨の日はどんな草履を選べばいい?

など、草履について気になる疑問にお答えします。

Q.鼻緒が痛くて履けない

昔から苦しむ人が後を絶たない草履の悩みのひとつです。
鼻緒がきつい場合には、あらかじめ鼻緒部分に手を入れ広げてから履くようにしましょう。
古いものだと鼻緒が硬く痛む場合もあるため、痛くなりにくい柔らかい鼻緒にすげ替えるのもひとつ。

鼻緒を取り変えられない草履の場合は、足の甲にクッションがついている足袋を履くことで痛みが軽減されますよ。

Q.草履を保管するのにおすすめの方法は?

草履を保管する際のポイントは以下の2つ。

・鼻緒が潰れないようにすること
・湿気に気を付けて保管すること

「鼻緒キーパー」を鼻緒にかませることで、鼻緒の型崩れが防止できます。
また、着物と同じく草履にも湿気は大敵。カビや劣化を防ぐために、「草履キーパー」に入れて湿気から守ってあげましょう。

Q.着用シーン別の選び方を知りたい!

女性用草履の着用シーンについて、簡単に表にまとめました。

結婚式 入学式・七五三の付き添い 食事会 街歩き
草履台の色 金銀または白、淡色 金銀または白、淡色など上品な色 何色でも 何色でも
鼻緒の色 金銀または白、淡色 金銀または白、淡色など上品な色 何色でも 何色でも
鼻緒の柄 無地または上品な織柄 無地または上品な織柄 無地または織り柄、染め柄など自由 無地または織り柄、染め柄など自由
素材 エナメル、帯地など エナメル、帯地など エナメル、帆布など何でも 歩きやすい素材
台の高さ 5㎝以上 5㎝以上 3~5㎝ 3~5㎝

サイズ選びのポイントも併せて押さえておきましょう。
草履は履いた時にかかとが1.5cmくらい出るのが美しいとされています。
足より草履の方が長いと足が草履から浮いて歩きにくいうえに、野暮な印象に。幅も草履の台が隠れるサイズを選ぶのが江戸流の粋とされています。

Q.雨の日にお気に入りの草履を履くのはやめた方がいい?

着物を着て出かける日があいにくの雨…あらかじめ日にちの決まっている結婚式や七五三などではよくある事態です。

雨の日にお気に入りの草履を履いて出かける場合には、「草履カバー」を付けましょう。

または、お気に入りの草履は避けて「雨用草履」で出かけるのもおすすめです。

草履の裏に鼻緒のすげ替えができる穴が開いている場合は、雨の日のお出かけは避けた方がベター。穴から水がしみ込んで草履がダメになります。
ウレタン草履など、鼻緒のすげ替えが利かない草履であれば雨の日でも履くことは可能です。ただしつま先や足袋が濡れるため、草履カバーは必須。

出先で雨に降られる心配がある場合は、着脱できる草履カバーをひとつカバンに入れておくと安心です。

まとめ

「お洒落は足元から」と言われるように、草履は着物コーディネートにおける大切なポイントのひとつです。
草履ひとつとっても種類や素材により個性がちがうため、履き心地を確かめつつ快適に過ごせるお気に入りの草履を見つけたいですね。
自分の足と雰囲気に合った一足を選んで、着物でのお出かけをエンジョイしましょう!