お宮参りで赤ちゃんに着せる着物とは?着せ方や両親の服装について解説

お宮参りで赤ちゃんに着せる着物とは?着せ方や両親の服装について解説

赤ちゃんがはじめて迎える通過儀礼・「お宮参り」。
無事な出産を感謝するとともに、子どもの健やかな成長を願う大切なイベントです。

家族みんなで神社に参拝し記念撮影を撮るなど楽しみな行事ではありますが、あまり馴染みのない赤ちゃんの着物の用意などから不安に感じる方も。

産後まもなくに迎えるお宮参りについて、

・赤ちゃんに着せるお祝い着の準備
・母親をはじめ付き添う家族の服装
・着用後のお手入れ方法

など、知っておくべき項目をおさえておきましょう!

お宮参りとは?

お宮参りとは?

「お宮参り(おみやまいり)」は、赤ちゃんが生後1か月を過ぎる頃に行う成長行事です。
生まれて初めて神社にお参りをするので、「初宮参り(はつみやまいり)」や「産土参り(うぶすなまいり)」とも呼ばれます。

産土(うぶすな)とは自宅のある地域のこと。その土地を護っている神様を「産土神(うぶすながみ)」または「氏神様(うじがみさま)」といいます。
お宮参りでは、神様のご加護があって無事出産できたというお礼と、赤ちゃんがその土地の仲間入りをするためにご挨拶をするという2つの意味が込められています。

お宮参りで赤ちゃんを抱くのは姑?

お宮参りで赤ちゃんを抱くのは姑?

「お宮参りではおばあちゃんが赤ちゃんを抱く」と聞いたことはありませんか?
昔から、父方の祖母(姑)が赤ちゃんを抱くというのが通例となっています。

室町時代頃からはじまったとされる「お宮参り」。かつては土地の神様に家族が増えたことを報告し、今後の成長を祈願する役目は家の女主である姑の役目でした。そのため母親ではなく姑(赤ちゃんの父親の母親)が赤ちゃんを抱くのが慣習だったのです。
産後の母体に無理をさせないため、とも言われています。

ただし現代では、昔ながらのルールに縛られない家庭も増えてきています。
お宮参りでも赤ちゃんは誰が抱っこをしても良いという考えが広まってきていますので、 ママが抱っこをしてもパパが抱っこしてもOK。母親は産後間もない時期なので、抱っこする際は体調に十分気を付けてくださいね。

お宮参りの着物を買うのは誰の役目?

赤ちゃんの「お祝い着」は、”母親の実家”が用意するのが古くからの慣習です。
今でも「お祝い着は母方の祖父母が贈るもの」という考えが根付いた家庭や地域では、赤ちゃんが産まれる前から用意しておくケースも珍しくありません。

しかし現在は、赤ちゃんのパパ・ママがお宮参りの衣装を選ぶケースも増えています。
せっかくのお宮参り、我が子に自分好みの産着を着せたいというママも多いことでしょう。

誰が用意するとしても、お祝い着を購入する場合は弟や妹、次の世代の子どもにまで残せるような色柄・品質の一枚を選ぶのがおすすめです。家族の思いとともに何代にも渡り受け継げるのが着物の魅力ですから。

祝い着のレンタルも増えている

最近では、お宮参りの衣装をレンタルする家庭も多くなってきています。
「保管方法や着用回数などを考えると購入よりレンタルを選ぶほうがお得」という合理的なママも。

貸衣装店や呉服店でお祝い着をレンタルする場合は、5000円~5万円ほどが相場です。家から出ずに産着を選べるネットレンタルも人気。最近は写真館でお祝い着をレンタルし撮影した後、そのまま産着を借りて神社まで参拝できるプランもあります。

予算や生活スタイルに応じて、家族と相談しながら最適な方法を選びましょう。

お宮参りに赤ちゃんが着る着物

お宮参りに赤ちゃんが着る着物

お宮参りにおける赤ちゃんの正式な服装は、

・白羽二重の内着+お祝い着(掛け着)を羽織った和装

が伝統的です。

ただし現代では、特に中に着せる内着については自由度が高くなってきています。
お宮参りで赤ちゃんに着せる着物について、種類別に見ていきましょう。

赤ちゃんに着せる「内着」

赤ちゃんに着せる「内着」

肌着の上に赤ちゃんに着せるのは、正式には白の絹生地・「白羽二重」で作った細長(一つ身)。
内着として白羽二重の一つ身を着せた上から掛け着(お祝い着)を着せます。

しかし、現代では掛け着を活かすために、掛け着の下には真っ白なベビードレスやロンパース、カバーオールなどの洋装ベビー服を着用することが多くなりました。
おすすめの内着については後の項目で解説します。

赤ちゃんが初めて身につける着物「産着・掛け着」

赤ちゃんが初めて身につける着物「産着・掛け着」

お宮参りでは、肌着を着た赤ちゃんに「産着」という着物を掛けるのが一般的です。
他にも「掛け着」「お祝い着」「のしめ」などと呼ばれます。

着物を赤ちゃんに着せるというよりは、抱いている人ごとおおうように掛け着を着せ掛けます。
大人の背中で紐を結んで固定するので、赤ちゃんを締め付ける心配もありません。

お祝い着の多くは正絹の羽二重に友禅染めや刺繍が施されたもの。
柄は吉祥文様を中心に、男子なら勇壮な模様、女子なら花や御所道具などの優雅な模様が描かれます。広げた状態で着せ掛けるため、一番目立つ背中から胴、裾へと流れるような柄が好まれるのも特徴です。
赤ちゃんがはじめて神社へ参拝する正式な行事とあって、可愛いだけでなく格調の高い絵柄が選ばれます。

魔除けの「背守」と「付紐飾り」

産着には「背守(せまもり)」という風習があります。
産着の背は一枚の生地でできているため、縫い目がありません。これを「背中に魔を除けるための目がない」という理由から嫌い、魔除けのために新たに糸で縫い目を付けたのです。
そこから派生して刺し子で縁起のよい模様を作ったり、布で作った装飾物を付けるようになりました。

「付紐飾り(つけひもかざり)」は、お祝い着についている太めの紐=付け紐 に糸で飾り縫いを施したもの。熨斗や扇子など縁起の良いモチーフを刺繍します。
明治時代以降から広く普及したと言われるお祝い着独自の風習です。

どちらも子どもを災厄から守りたいという親心の込められたならわしです。

七五三で活用するには

お宮参りで使用する産着は、仕立て直すことで七五三の3歳(女の子)、5歳(男の子)で着ることができます。
産着は基本的に男女とも背縫いのない一つ身の広袖(大袖)なので、呉服店や和裁師に仕立て直しをお願いしましょう。

長く着たい、という方は産着を大人と同じ四つ身仕立てで注文するのもひとつ。着る時のサイズに合わせて仕立て替えることで、0歳~7歳まで着用可能です。

お宮参りの赤ちゃんの服装と着せ方

お宮参りの赤ちゃんの服装と着せ方

お宮参りでは、内着と掛け着のほかにも必要な小物の決まりがあります。
赤ちゃんに着せる衣装と小物の種類から、込められる意味や特徴などについて見ていきましょう。

産着の着せ方についても簡単に解説しますので、参考にしてみてください。

肌着/ベビードレス

昔は正絹の白羽二重を内着として掛け着の下に着るのが正式とされていましたが、
現代では白のベビードレスやカバーオールなどの洋装が主流に。

掛け着を被うと頭しか見えないことや、お宮参りの後にも着られることから洋装がメインとなりました。お宮参り前後の写真撮影でベビードレス姿を撮ることも多いです。

季節や気候に配慮しつつ、赤ちゃんの体温調節ができるような素材を選びたいですね。

袴ロンパース

赤ちゃんの生後100日目に行う「お食い初め」の衣装として流行の袴ロンパース。
お宮参りの衣装に用いるケースも増えています。

お宮参りでは、袴ロンパースの上から掛け着を掛けましょう。
少し大きめのサイズを選んでおくことで、お正月やひな祭りなどのイベントでも着用できますよ。

掛け着

産着の上に着せ掛ける掛け着。お宮参りのメインとなる衣装です。

男の子は黒や緑などの渋めの色に、熨斗目(のしめ)や松竹梅、鷹などの文様、
女の子は赤やピンクなどの明るい色に、花や御所道具などの文様が多く見られます。
掛け着と長襦袢はセットになっている場合がほとんどです。掛け着を反物から仕立てる場合は長襦袢も一緒に仕立てます。

【掛け着の着せ方5ステップ】

1.掛け着と長襦袢を重ねた状態で、着物と長襦袢の紐を一緒に袖に通します。
3.背中の部分の柄がきれいに見えるように、シワを整えます。
4.紐にお守りなどの小物を通します。
5.赤ちゃんと抱っこしている大人を包むようにかぶせ、赤ちゃんの頭と反対側の肩の後ろ部分で紐を蝶々結びにして完成!

帽子・よだれかけ

赤ちゃんに産着を着せたら、フードセット=帽子とよだれかけ を着せます。
お宮参り用のフードセットであれば、正式な雰囲気でより神社への参拝にふさわしい雰囲気に。

お宮参りの時期である生後1か月前後は、赤ちゃんの露出を最小限に抑えるためにも帽子をかぶせてあげたいものです。産後間もない赤ちゃんの肌は繊細なうえに、外気温の変化でも体調を崩しやすいことからお宮参りでも帽子をかぶせる風習が根付いています。

よだれかけは、着物(産着・初着)を汚れから守るためにもぜひ付けたい小物。最近では「スタイ」とも呼ばれ、赤ちゃんの肌トラブルの予防にも欠かせません。

お宮参り用として準備するよだれかけと帽子は、セットになったデザインがおすすめです。フリルやレースの施されたデザインであれば、お祝いの華やかさをより演出できるでしょう。

その他小物類

お宮参りでは、赤ちゃんの無事な成長を願う意味の込められた「小物」を掛け着の紐に通すのが一般的です。縁起の良い小物がたくさん付けられることで、お祝い事らしいにぎやかな雰囲気になります。
ここでは、代表的な5種類の小物とそれぞれに込められる意味を紹介します。

【お宮参りの小物 5選】

|お守り袋

参拝した神社で頂くお守りを持ち帰るための袋です。
鶴(長寿の象徴)の刺繍が多く、赤ちゃんが「健康で長生きするように」との意味が込められています。房の色で男児(白)・女児(赤)の区別があります。

|扇子

扇子は末広(すえひろ)とも呼ばれます。漢数字の「八」の形のように裾に向かって広がることから、「前途洋々」「繁栄」などの意味が込められる縁起の良い小物です。
お宮参りでは、のし袋に入れた状態で掛け着に付けられます。

|紐銭(ひもぜひ)

家族や親戚からもらったご祝儀を掛け着につるすという、関西に多く見られる風習です。
ご祝儀袋に穴をあけて紐に通します。万が一お金を落とさないよう、ご祝儀袋だけを付けることも。
「将来お金に困らないように」という願いが込められています。

|でんでん太鼓

赤ちゃんをあやすおもちゃでもあるでんでん太鼓には、実は「魔除け」の意味合いも。子どもを魔から守ってくれるとされています。
また、でんでん太鼓は表裏がなくどちらも同じ音がすることから、「表裏のない素直な子に育って欲しい」という親の願いも込められた小物です。

|犬張子(いぬはりこ)

子犬の形をした張子人形である犬張子。お宮参りの小物の中でも可愛くて象徴的なアイテムです。
犬の子どもが病気もせず元気に育つ様子から「子犬のように丈夫に育つように」との意味が込められています。
3歳になったらお宮参りをした神社に奉納し、無事な成長を感謝するしきたりも。

お宮参りの家族の服装は?

お宮参りの家族の服装は?

赤ちゃんが主役のお宮参りではありますが、付き添いの家族も参拝にふさわしい服装でのぞみたいものです。
具体的には、どんな服を選べばよいのでしょうか?
母親、父親、祖父母の立場別に、衣装の選び方を解説します。

母親の服装

基本的には和装、洋装どちらでも、お祝いの席にふさわしいフォーマルな装いであればOK。

お宮参りの母親が着物を着用する場合は、

・訪問着
・色無地
・付け下げ

に礼装用の袋帯をしめるのが一般的です。
華美でない上品な着物を選びましょう。薄ピンクやクリーム色、水色などの淡い地色がおすすめです。

洋装なら、セレモニースーツやワンピースがいいでしょう。
パールネックレスを合わせればさらにきちんと感が増します。

父親の服装

お宮参りの父親は、洋装なら白のワイシャツに略礼服、白ネクタイが基本です。

着物の場合は一つ紋、または三つ紋入りの羽織+着物に袴をはくのが正式。
家族みんな和装でのぞむのも、立派な雰囲気で良いものです。

祖父母の服装

現在は、父方の祖母は準礼装である色留袖や訪問着を着るのが主流です。
昔は第一礼装である黒留袖を着用しましたが、現代では簡略化されました。
祖母が赤ちゃんを抱っこする場合は、掛け着との相性も考慮して着物の色柄を選びたいですね。

祖父の着物の選び方や意識するポイントは父親と同じです。

両家の祖父母は事前に相談して装いを合わせて置くと、写真写りも調和が取れて良いでしょう。

お宮参り着を着せる前の準備とお手入れ

お宮参り着を着せる前の準備とお手入れ

お宮参りを前にしたお祝い着の準備と、着用後のお手入れはどのようにしたら良いのでしょう?

お悩みの多い産着の支度とお手入れ方法について簡単に解説します。
特に赤ちゃんに着せ掛ける産着は、赤ちゃんのよだれや汗など見えない汚れがつくことも。
着用後は洗いに出すのがおすすめですよ。

↓着物のお手入れについて

前日の準備

お宮参りの前日に、お祝い着を出してハンガーにかけておきましょう。軽いシワであれば干すことで取れる場合があります。
また、事前に掛け着の着物と長襦袢の紐を袖に通しておくと当日バタバタしません。

掛け着の掛け方について不安な場合は、YouTubeなどを見ながら家で練習をしておくのも良いでしょう。

お手入れ方法

お祝い着のお手入れは、基本的には専門店にお願いするのがおすすめです。

特に掛け着が正絹素材の場合は自宅で洗うのは厳禁。
絹は水に弱いため、せっかくのお祝い着が縮んでしまいます。
必ず専門店のクリーニングに出すようにしましょう。

掛け着が化繊素材で洗濯表示がある場合は、表示にしたがって自宅での洗濯もOK。
「ポリエステルでも着物を自分で洗うのは心配…」という方は、着物のクリーニングを行っている着物屋さんやクリーニング屋さんに相談するのが安心です。

着用後の保管は、お祝い着と小物を一式まとめておくのがわかりやすくて◎。
カビや紫外線などから大切な着物を守ってくれる「着物キーパー」に入れて収納するのがおすすめです。

まとめ

お宮参りは、生後1か月に行う赤ちゃんにとってはじめての成長行事。
神社へ参拝し記念写真を撮影することで、家族の想い出が形に残る大切な一日です。

誕生から30日前後に行うのが通例である初宮参りですが、基本的にはいつ行ってもOK。
昔とは気温がだいぶ変わり暑い日も多いため、気候や家族の都合に合わせて時期を相談するのが良いでしょう。
赤ちゃん、また産後すぐのお母さんの体調にはくれぐれも気を付けつつ、素敵なお祝いの一日を過ごしましょう!