着物の着付け

2023.8.10

着物の着付けに必要なものは?基本的なアイテムの他、緊急時の代用品を紹介

着物の着付けに必要なものは?基本的なアイテムの他、緊急時の代用品を紹介

「着付けにチャレンジしたいけど、着物と帯以外に何を揃えばいい?」
「着付け教室に持って行くものがよくわからない!」

自分で着物を着てみたいと思っても、着付けに必要なものは聞き慣れない単語ばかりでわかりにくいですよね。
どんなものを揃えればいいのかわからず、着物に対してすでにハードルを感じてしまった方も多いかもしれません。

着付けには外から見える着物や帯だけでなく、腰紐や伊達締めなどさまざまな小物が使われています。ひとつひとつに役割があり、美しい着姿を支える重要なアイテム。
せっかく着物に興味を持ったのに、準備段階で諦めてしまうなんてもったいない!

そこで今回は、着物ビギナーの方のために着付けに必要なものをひとつずつ解説します。
着物の種類ごとに着付けに必要なものリストや、緊急時の代用品もまとめました。

これから着付けに挑戦したいと思っている方は、着付けの第一歩を踏み出す参考にしてくださいね。

着付けに必要なものは着物の種類で変わる?

着物とひとくくりにしても種類があり、着付けに必要なものも変わります。
着物の種類によっては特別に用意が必要だったり、他では必須のアイテムが不要だったりと多種多様です。

アイテムごとの解説は後ほどしますので、まずは着物ごとに異なる着付け小物をざっと把握しておきましょう。

・着物
・浴衣
・袴
・七五三

着物|15点

着物の着付けに必要な物は以下の通りです。

No. アイテム名 必要数
1 着物 1
2 1
3 肌襦袢(はだじゅばん)・肌着 1
4 長襦袢(ながじゅばん) 1
5 半衿 1
6 衿芯 1
7 腰紐(こしひも) 1~6
8 伊達締め 2
9 帯揚げ(おびあげ) 1
※半幅帯の場合は不要でOK
10 帯締め(おびじめ) 1
※半幅帯の場合は不要でOK
11 帯板(おびいた) 1~2
※半幅帯の場合は1
12 帯枕(おびまくら) 1
※半幅帯の場合は不要でOK
13 足袋 1
14 草履 1
15 バッグ 1

着物や帯以外にも多くの小物が必要です。着崩れを防ぎ、美しい着姿を保つために、重要な役割を果たしています。

ひとつひとつ揃えるのは大変ですが、今は着付けに必要な小物だけのセットも販売されていて便利ですよ。

注意したいのは、着物や帯の種類によって必要なものと不要なものが分かれること。
訪問着などの格式高い着物や帯の場合、揃える小物数は多いですが、普段着としてカジュアルに着こなす場合は、必ずしもすべて必要ではありません。

まずは自分がどんな着物を着たいのかを決めてから、着付けに必要な物をそろえましょう。

▼着物の格式について知りたい方はこちらもあわせてご覧ください。

▼これから着物を始めるならこちらの記事もおすすめです。

先にアイテムごとの解説をチェックしたい方は『着物の下・補正に必要なもの』へジャンプ

浴衣|8点

花火大会や夏祭りで定番、浴衣の着付けに必要なものは以下の通りです。

No. アイテム名 必要数
1 浴衣 1
2 半幅帯(はんはばおび) 1
3 肌襦袢(はだじゅばん)・肌着 1
4 腰紐 1~4
5 コーリンベルト 1
6 前板 1
7 下駄 1
8 巾着 1

浴衣は、着付け教室では最初に教わることの多い着物です。
着付けに必要なものを一から用意する着物ビギナーにとって、準備するものが少ないのも魅力。

まだ手元に何もない状態なら、浴衣に必要な小物のセットが便利です。

浴衣は着付けの工程も少ないため、比較的簡単に着付けられます。
これから着付けに挑戦するなら、必要なアイテムの少ない浴衣から始めて、徐々に揃えていくのもおすすめです。

▼浴衣に関してはこちらで詳しく解説しています。

袴|14点

袴の着付けに必要なものは以下の通りです。

No. アイテム名 必要数
1 着物 1
2 半幅帯 1
3 1
4 肌襦袢・肌着 1
5 長襦袢 1
6 半衿 1
7 伊達衿 1
8 衿芯 1
9 腰紐 3~5
10 伊達締め 2
11 帯板(おびいた) 1
12 足袋・靴下・ストッキング 1
13 草履・ブーツ 1
14 巾着・バッグ 1

袴は洋装にも合わせやすく、比較的自由度が高いことが特徴です。
ブーツを合わせるのであれば、足袋や草履を用意する必要なく、普段利用している履物をそのまま使えます。

レンタルでは二尺袖と合わせるのが一般的な袴ですが、特に決まりはありません。手持ちの小紋や訪問着などと合わせられますので、好みのコーディネートが楽しめますよ。

七五三|16点

七五三の場合、年齢や性別で着付けに必要なものは異なりますが、今回は大人と同じ着物を着る7歳女の子の場合をご紹介します。

No. アイテム名 必要数
1 着物 1
2 1
3 肌襦袢・肌着 1
4 長襦袢 1
5 半衿 1
6 伊達締め 2
7 帯締め 1
8 帯揚げ 1
9 帯板 2
※作り帯の場合は1枚
10 帯枕 1
※作り帯の場合は不要
11 しごき(帯下のリボン) 1
12 腰紐 4~7
13 コーリンベルト 1
14 足袋 1
15 草履 1
16 バッグ・巾着袋 1

七五三の準備をする上で気を付けたいのがサイズです。
子ども用の着物は、成長を願って大きめに仕立てられています。お子さんの着丈に合うように、腰上げや肩上げなどのサイズ調整が必要です。

帯枕や帯板も大人用とはサイズが異なるので、別に用意したほうが良いでしょう。

レンタルで一式がセットになっているサービスも多く登場していますので、特に七五三でしか着用予定がない場合は便利ですよ。

着物の下・補正に必要なもの

着物を着付ける前に必要な物は以下の通りです。

・下着・肌着
・足袋
・補正具
・長襦袢・半衿・衿芯
・腰紐
・伊達締め
・コーリンベルト

ひとつずつ役割とともに解説していきます。

下着・肌着|着物や帯が汚れるのを防ぐ

着物を着る際の下着や肌着とは、着物の下に身に着ける長襦袢のさらに内側に着るものです。汗や皮脂汚れが直接着物や長襦袢に付着するのを防ぎ、着物をきれいに着るために着用します。

女性が着物を着付ける際に身に着ける下着・肌着は以下の通りです。

・和装ブラ
・肌襦袢+裾除け、またはワンピースタイプ

外からは見えない肌着はどの着物でも気にせず使えるため、肌触りや着心地のよさで選ぶのがおすすめです。
特に春から秋にかけて汗の気になる季節は、吸水性や通気性も気にしたいポイント。

洗濯のしやすさなど利便性の高い肌着1着は用意しておきましょう。

▼肌着についてはこちらの記事で詳しくご紹介しています。

足袋|格に気を付けて足元からおしゃれを

夏の浴衣を除けば着物に足袋は必須。着物を着付ける前に履くアイテムです。
白足袋を1枚用意しておくと、冠婚葬祭から普段使いまでオールマイティに活躍してくれます。

留袖や訪問着などフォーマル着物では、4〜5枚の『コハゼ』と呼ばれるフックのついた白足袋が基本です。
カジュアル着物では『色足袋』『柄・刺繍足袋』も使用可能。足元からおしゃれを楽しめて普段使いにも重宝します。最近は『レース足袋』も人気ですね。

一般的な足袋には伸縮性がないため、サイズ選びは重要。脚の形にぴったり合っていてシワが寄らないのが美しいとされています。
足袋ソックスやストレッチ足袋など機能性に優れたものも販売されていますので、気楽に着物を着るだけなら、ストレスなく履けて便利ですよ。

足袋は着物の格や着用シーンに合わせて用意しましょう。

▼足袋の選び方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

補正具|美しい着姿を保つ

美しい着物姿を保つため、体の凸凹をなくすために使うのが補正具です。着崩れも防ぐ役割もあります。

補正機能のついた肌着も多く販売されていますが、タオルでも代用可能です。
「着物は寸胴体型がよい」と言われているように、使う部分は主に胸元とヒップ周り。タオルを巻いて整えますが、デコルテが薄い方は衿周りにも補正が必要です。

フェイスタオルやハンドタオルなど、大きさの違う薄手で柔らかいものを3〜5枚用意しておくとよいでしょう。

長襦袢・半衿・衿芯|ちらりとのぞくおしゃれ

長襦袢は肌着の上、着物の下に着る着物です。着物が直接肌に触れるのを防ぐ役割があります。裾や袖からちらりとのぞかせるため、隠れたおしゃれを楽しめるアイテムです。

長襦袢も着物の格や着用シーンによって決まりがあります。
フォーマルな場面、特に黒留袖や色留袖などの礼装は必ず白い長襦袢。訪問着や色無地は少し自由度が高くなり、桜色や空色などの淡い色も選べます。
小紋や紬などのカジュアル着物であれば、柄やカラーの襦袢でおしゃれを楽しめますよ。趣味の着物なら洋装用のインナーで代用可能です。

▼長襦袢の種類や選び方はこちらで詳しくご紹介しています。

半衿は長襦袢の衿部分に縫い付けて使用します。
フォーマルな着物では基本白ですが、カジュアル着物なら素材や柄も自由。色や刺繍などでコーディネートが楽しめる場所です。

▼半衿に関する記事はこちら。

衿芯は半衿に入れて使用するアイテム。縫いつけた半衿と長襦袢の間に入れ、衿をきれいに立たせる役割があります。
衿がビシッと決まっていると着物姿も様になりますので、用意しておくといいでしょう。

腰紐|襦袢の固定や補正

腰紐は、長襦袢だけでなく着物や帯を着付ける際に何度も使用するアイテムです。下締めとも言われ、着物の固定や補正で使用します。

綿や麻、絹製などさまざまな素材のものが販売されていますが、モスリン製の腰紐がおすすめ。
締めやすくゆるみにくく、締まりすぎません。絹に比べてもお値段も手頃なのも嬉しいポイントです。

腰紐を多く使うと、着崩れはしにくくなるものの、締め付けられるため苦しいと感じる場合も多くあるため、必要本数には個人差があります。
基本はアンダーバストくらいで締めて衿元を抑える胸紐用に1本あれば、長襦袢の着付けは可能です。

しかし、着付けが終われば解いてしまえる「仮紐」として使用する場合もありますので、着付けに慣れていない初心者の方は少し多めに2本ほど用意しておきましょう。

伊達締め|衿元を固定

長襦袢を着た上からベルトのように固定して使うのが、伊達締めです。
腰紐と似ていますが、伊達締めは幅が7〜10㎝と広いため、衿元を押さえて着崩れを防ぐ役割があります。

着付け初心者には、マジックテープタイプやクリップタイプより両端を結ぶタイプがおすすめ。
肌触りの良いポリエステル製はお手入れがしやすく、しっかりと締まり緩みづらい生絹は値段は高いものの長く使い続けられます。

サイドがゴムになったシャーリング伊達締めも、お腹周りが苦しくなりにくくておすすめですよ。

襦袢用に1本用意しておきましょう。

コーリンベルト|衿元を固定する便利アイテム

コーリングベルトは衿元がずれないように固定するためのアイテムです。
両端にクリップがついたベルトのような形をしていて、着物を挟み留めて使用します。

着付け師さんによっては使わない場合もありますが、着付けビギナーの方や締め付けが苦手な方におすすめです。
腰紐や胸紐で衿元を固定すると、胸の下に紐があたって体に負担がかかってしまいます。
ゴム製で伸び縮みして体を締め付けずに着物を楽しめるため、必須になりつつあるアイテムです。

クリップ部分がプラスチックだと劣化して割れる可能性があるので、長く使うなら金属製のものを選びましょう。

着物の着付けに必要なもの

着物の着付けに必要な物は以下の通りです。

・着物
・腰紐
・伊達締め
・コーリンベルト

前述した『着物の下に必要なもの』と重複しているアイテムもありますが、着物の着付けでも必要になります。ひとつずつ見ていきましょう。

着物|格や着用シーンに合わせて

着物がなければ始まりません。自分好みのデザインで着物を選ぶとモチベーションにもつながります。

ただ選ぶ際に注意したいのは、着物には格式があり種類によって着られるシーンが異なることです。

成人式の定番振袖をはじめとする留袖や訪問着は、フォーマルな着物。格式高い礼装に分類されます。
友人とのおでかけやお稽古などで使えるカジュアルな着物なら、小紋や紬がおすすめ。
自宅で気軽に楽しむなら、木綿の着物も自宅で洗えて便利ですよ。

少しサイズが違っても着られるのが着物の魅力ですが、着付けに慣れない初心者の頃は、着崩れや着姿にも影響があるので、自分に合った着物のサイズを選びましょう。

▼小紋に関してはこちらも合わせてご覧ください。

▼着物のサイズでの選び方や寸法の測り方はこちらの記事で詳しくご紹介しています。

腰紐|衿元とおはしょりの固定

長襦袢でも使用した腰紐は、着物の着付けにも使用します。
衿元とおはしょりの固定する役割があり、着崩れを防ぎ着姿を美しく保つためのアイテムです。

綿や麻、絹製などさまざまな素材のものが販売されていますが、モスリン製の腰紐がおすすめ。締めやすくゆるみにくく、締まりすぎず、絹に比べてもお値段も手頃です。

また、腰紐の代わりとして使いやすいウェストベルトも販売されています。

ゴム紐の先にフックが付いており、おはしょりの長さ調整も可能です。伸縮性に優れているので、結ぶ位置によって痛くなったり苦しくなったりもしません。

腰と胸用に、最低でも2本は腰紐を用意しておきましょう。

伊達締め|衿元とおはしょりを押さえる

長襦袢と同じく、着物の着付けでも伊達締めは衿あわせやおはしょりを押さえ、着崩れを防ぐために使用します。

マジックテープやクリップなどさまざまな伊達締めがありますが、着付け初心者には、両端を結ぶタイプが扱いやすくておすすめです。
素材はお手入れしやすく肌触りの良いポリエステルか、値段は高いもののしっかりと締められると人気の高い生絹製がよいでしょう。

お腹周りの締め付けが苦手な方は、サイドがゴムになったシャーリング伊達締めがおすすめです。

伊達締めは着物用にも1本用意しておきましょう。

コーリンベルト|衿元の固定

長襦袢と同じように、着物でもコーリングベルトがあると便利です。
衿元がずれないように固定するために使用します。

必ずしも必要ではないので、使用しないケースも。着付け教室や着付け師さんによっても違いますので、確認してから揃えても遅くはありません。

着付けに慣れていない初心者の方は、きれいな着姿がキープできるので用意するのがおすすめです。

帯周りの着付けに必要な物

帯を着付ける際に必要な物は以下の通りです。

・帯板
・帯枕
・帯
・帯締め
・帯揚げ

聞き慣れないアイテムが多いので、ひとつずつ役割を確認していきましょう。

帯板|前帯のシワを防ぐ

帯板は、帯の間に入れて使用します。帯の前面にしわが寄らないようにするアイテムです。サイズも帯の種類によって使い分けます。
留袖や訪問着など、ピシッと帯を締めたい場合は脇までカバーできるような長めの帯板が一般的。気負い過ぎないカジュアルな着物には、短めのものでも問題ありません。

初心者には、後ろ部分がゴムベルトになっている帯板がおすすめです。引っかけるだけなので楽に着脱できます。
暑い季節や半幅帯を結ぶ際には、メッシュの帯板を使うと涼しく快適に着物や浴衣が着れますよ。

もし振袖や七五三などで着付け師さんに「帯板2枚を持ってきてください」と言われた場合は、前述した『前板』と『後板』の2種類と思ってください。後板は飾りむずびを美しく見せ、腰高に支える役割があります。

着物の種類や着用シーンに合わせたサイズの帯板を準備しましょう。

帯枕|お太鼓結びや飾り結びで帯の山を作る

帯枕は、帯の山に高さと膨らみを作るアイテムです。袋帯や名古屋帯のお太鼓結びや、振袖の飾り結びには必ず使用します。

サイズもさまざまですが、大きすぎず小さすぎない標準サイズのものがおすすめです。
ウレタン素材の適度な硬さがある帯枕が一般的。帯揚げを上から被せますが、色が透ける可能性があるため、淡い色の無地が無難とされています。

帯枕はフォーマルな着物では必須ですが、カジュアルに着こなす場合は必ずしも用意しなければいけないわけではありません。
半幅帯はもちろん、名古屋帯や袋帯でも銀座結びなど帯枕を使わない結び方もできます。

お太鼓のボリューム感や山の形で使い分ける方もいらっしゃいますので、好みでサイズを選んでもよいでしょう。

帯|着物や着用シーンに合わせて

帯は、着物姿で第二の顔と言われるほど周りから注目されるポイントです。
着物と同じく格式が存在するため、着物や着ていくシーンによって使い分ける必要があります。

最初はルールが難しいかもしれませんが、帯は季節や気分で変化が付けやすく、おしゃれを楽しめるアイテムです。

『着物一枚 帯三本』 と言われるように、1着の着物でも合わせる帯によって雰囲気ががらりと変わるので、最初は季節を問わず着れる帯を用意し、徐々にバリエーションを増やしていくのもおすすめですよ。

▼帯に関してはこちらの記事で詳しくご紹介しています。

帯締め|帯の型崩れを防ぐ

帯締めは帯をしっかり支え、コーディネートのアクセントにもなる重要な役割を持っています。
留袖には白または白地と決められていますが、基本は自由に選べるアイテムです。

帯締めにもさまざまな種類があり、初心者の方にはしっかりと締められる平打ちの組紐がおすすめ。礼装からおしゃれ着まで広く活躍してくれますよ。
色は着物や帯と同系色や補色が良いとされていますが、差し色として使う場合も。全体のバランスを見て、コーディネートがまとまるように選びましょう。

半幅帯を締めるのならなくても大丈夫ですが、華やかさやおしゃれのために取り入れると着こなしの幅が広がりますよ。

帯揚げ|帯の形を整える

帯揚げとは、帯の上にちらりとのぞく薄手で柔らかい布のことです。
帯枕を隠し、帯結びの形を整える役割があり、コーディネートにも影響を与えます。

素材は絹が多く、絞りや綸子(りんず)、ちりめんにレースなど色や種類も豊富。着物の生地に合わせるとよいとされています。

帯揚げがなくても締められる半幅帯にも使用可能です。おしゃれとして取り入れると華やかな印象になりますよ。

淡い色で帯や着物となじませたり、アクセントとして引き締めたりと、使い方次第で着物姿の印象も変わるので、帯締め同様、全体のバランスを見て選びましょう。

▼帯揚げについてはこちらで詳しく解説しています。

草履・バッグ・髪飾りなどの装飾品

着物を着付けた後、外出する際に必要なのが以下の装飾品です。

・草履
・バッグ
・髪飾り
・羽織やコートなどの上物

着付けとは直接関係ありませんが、装飾品は着物姿の印象を決める大切なポイント。
着用シーンによって選べるデザインが異なるものもありますので、しっかり把握しておきましょう。

▼装飾品に関してはこちらもあわせてご覧ください。バッグや髪飾りのほかに着物周りの和雑貨について紹介しています。

草履|足元のおしゃれ

裾から除く履物もコーディネートのポイントとなる和装小物のひとつです。
着物用では草履と下駄の2種類。草履はフォーマルから普段着まで着物全般の履物なのに対し、下駄は浴衣を着ているときに使用します。

草履のサイズは、足で草履の台が隠れるサイズを選ぶのが江戸流の粋です。履いた時にかかとが1.5cmほど出るのが美しいとされています。
足より草履のほうが長いと歩きにくく、野暮ったい印象になってしまいますので、注意してください。

着物や帯と同じく草履にも格があり、着用シーンによっても選べる種類が変わります。着物でたくさん歩く場合は、デザインだけなく履き心地にもこだわりましょう。

▼草履の種類や格に関してはこちらで詳しく解説しています。

バッグ|コーディネートを楽しむポイント

着物姿の印象も左右するポイントのひとつですが、草履と同じく着物や帯によって持てるデザインが異なります。

結婚式などのフォーマルなシーンでは、上品で華やかなビーズバッグや高級感のある帯地のバッグがおすすめ。
自分自身が主役となる成人式の振袖には、光沢感のあるエナメルなどきらびやかなバッグも目を惹いて素敵ですね。

普段着としてカジュアルに着物を楽しむなら、巾着やがま口、トートバッグも選べます。浴衣にはカゴバッグを合わせても涼しげです。
和装でも洋装でも使えるバッグを選ぶと、普段使いもできますよ。

草履とバッグがお揃いだと統一感が取れるので、初心者の方はセットで購入するのもおすすめです。

▼着用シーンや着物の種類別におすすめのバッグをご紹介している記事もあわせてご覧ください。

髪飾り|着物姿を華やかに

オリジナリティを出せる髪飾りは、着物にも欠かせない小物です。着物姿をより華やかにしてくれます。

和装ではかんざしが定番。最近は着物だけでなく洋服にも合わせやすいデザインも多く販売されています。
洋服用のバレッタも着物にも使用可能です。今っぽい印象になれますよ。

髪の長さやまとめた髪のボリュームによっても、合わせたい髪飾りの雰囲気は異なりますので、好みに合わせて選びましょう。

▼こちらの記事では、髪飾りで気になる着物や浴衣に合う髪型を紹介しています。あわせてご覧ください。

羽織やコートなどの上物

羽織やコートなど、着物の上から羽織るものが上物や羽織ものです。外出の際、防寒対策の他、着物や帯をちりなどから守る役割があります。

羽織・道行・道中着・和装コートが定番ですが、ポンチョやケープもおしゃれで可愛いと人気のある上物です。
春夏はレースや薄手の羽織りがあると、涼しげで軽やかなコーディネートを楽しめます。
持ち運びが簡単な大判のショールやストールも、冷房対策や少し肌寒い時期には便利ですよ。

上物にも格があるため、着る季節やシーンによっても選び方は変わりますが、下の着物の色に合わせて選ぶのがおすすめです。同系色にすると統一感のあるコーディネートになります。

羽織は室内でも着用できますが、コート類は室内では脱ぐのがマナーなので注意しましょう。

代用は可能?足りない時の応急処置

着付けに必要なものをチェックして入念に準備していても、「あれがない!」「足りない!」となるケースもあるでしょう。
ここからは、足りない時の応急処置として代用品となるアイテムをご紹介します。

・補正具が足りない!綿orタオル
・腰紐が足りない!ビニール紐・ストッキング・包帯
・帯板がない!厚紙やクリアファイル
・帯枕がない!銀座結びで対応
・襦袢がない!和洋折衷に変更

しかし、どれもあくまで最終手段です。特に時間が決まっている成人式や結婚式で着付けをお願いする場合、着付け師さんに迷惑をかけてしまう恐れもあります。

あくまで自分が着付けをする時の緊急処置に留めておいてください。

補正具が足りない!綿orタオル

体型を補正するには、綿やタオルでも十分対応できます。普段着物を着ない場合は、補正具を購入するよりも利便性が高くおすすめです。

使い方はウエストやヒップにタオルを巻いて腰紐やさらしで固定。帯がきれいになり、帯も下がらず安定します。
デコルテ部分にボリュームを出すためには綿やハンカチを。逆にふくよかな胸元の場合は、みぞおちにタオルを使うとなだらかなシルエットになりますよ。

フェイスタオルだと厚すぎる場合は、薄めのハンドタオルも用意しておくと調整がしやすくなっておすすめです。

腰紐が足りない!ビニール紐・ストッキング・包帯

着物を着る際に腰紐が足りない場合は、ビニール紐・ストッキング・包帯で代用可能です。

ビニール紐は伸縮性がないため、着ていると苦しくなる可能性もあります。せっかくの着物で痛みを感じてほしくないので、あまりおすすめできません。

家にあるのなら、伸縮性のあるストッキングや包帯のほうがよいでしょう。
ストッキングは付け根を切断するだけで2本分。包帯は175〜220㎝の長さでカットすれば、素材も腰紐と同じなので使い勝手も変わらず使用できます。

しかし、どれも今日着物を着るのに足りないときの最終手段です。
着崩れや着物と帯を痛める原因にもなるため、今日を乗り越えたあとは、忘れないうちに購入しておきましょう。

帯板がない!厚紙やクリアファイル

帯のシワを防ぐ帯板は、最低1つは用意したほうがよいアイテムですが、厚紙やクリアファイルでも代用できます。
文字が印刷されているとインクが帯や着物に付く可能性があるため避けましょう。

透明のものや白い厚紙を帯板サイズ幅12~14㎝、長さ45〜50㎝の長方形にカットします。帯にあたってしまうため角は丸くするのがポイントです。
規定のサイズはありませんが、フォーマルには幅14㎝×長さ50㎝、カジュアル用では少し小さめの幅12㎝×長さ39㎝を目安にしましょう。

後板の場合は大きさは幅13~14㎝×長さ27~30㎝ほど。前板と同じく角は丸く切り落としてください。
子ども向けの帯板も販売されていますが、七五三など一度だけの使用なら厚紙を切り抜いてしまってもいいでしょう。前板、後板ともに幅11㎝×長さ24㎝が目安です。

どれも一時しのぎなので、今後も継続的に着物を着る予定なら、使いやすい帯板の購入をおすすめします。

帯枕がない!銀座結びで対応

帯枕がない場合は、銀座結びで対応しましょう。
カジュアルな着物ででかける場合は、必ずしも帯枕が必要になるお太鼓結びでなくてもよいためです。

手順は帯枕を使うまではお太鼓結びと同じ。帯枕を使わず、腰紐と帯揚げで仕上げます。
お太鼓ができない長さの帯でも銀座結びなら結べるので、短い帯にもおすすめです。

▼銀座結びの結び方はこちらの動画がわかりやすいですよ。

また、どうしてもお太鼓結びでなければならない場合は、100均でも手に入るメラミンスポンジとストッキングで代用する方法もあります。
メラミンスポンジを縦7〜9㎝、横20〜25㎝、高さ2.5〜5㎝の好みの大きさにカットし、付け根部分からカットしたストッキングに入れるだけ。
適度な柔らかさと通気性があり、意外と使いやすいと評判です。

これからずっと着付けをしていくなら1つは購入したほうがいいですが、どうしてもない場合の応急処置として試してみてください。

襦袢がない!和洋折衷に変更

趣味ででかけるような普段着感覚の着物なら、和洋折衷にして長襦袢を使用せずに楽しめます。

小紋や紬、木綿にウールなどのカジュアルな着物に、インナーをタートルネックやシャツ・ブラウスなどを合わせると可愛らしい印象になりますよ。レースやフリルをのぞかせても可愛いですね。
長襦袢の着付けが必要なくなるので、着付け時間の短縮にもなります。

カジュアルな場面のみで使える方法なので、格式が求められるシーンで着用する場合は長襦袢を必ず用意しておきましょう。

まとめ

着物の着付けに必要なものは以下の15点です。

No. アイテム名 必要数 役割
1 着物 1
2 半幅帯 1
3 肌襦袢・肌着 1 着物や帯が汚れるのを防ぐ
4 長襦袢 1 着物や帯が直接肌に触れるのを防ぐ
5 半衿 1 ちらりとのぞくおしゃれ
6 衿芯 1 衿をきれいに立たせる
7 腰紐(こしひも) 1~6 補正や衿元・おはしょりの固定
8 伊達締め(だてじめ) 2 衿元やおはしょりの固定
9 帯揚げ(おびあげ) 1
※半幅帯の場合は不要でOK
帯の形を整える
10 伊達締め 1
※半幅帯の場合は不要でOK
帯の型崩れを防ぐ
11 帯板(おびいた) 1 前帯のシワを防ぐ
12 帯枕(おびまくら) 1
※半幅帯の場合は不要でOK
帯の山を作る
13 足袋 1 格に気を付けて足元からおしゃれを
14 草履 1 足元のおしゃれ
15 バッグ 1 コーディネートを楽しむポイント

はじめは聞き慣れない単語ばかりだったアイテムも、役割やいつ使うのか把握すれば理解しやすいのではないでしょうか。

着物や帯の種類によって、必要になるアイテムは異なりますので注意してください。
着付け教室や美容院で着付けをお願いする場合は、自分が着たいものを伝えると必要になるのか教えてくれますよ。

小物を揃えたら、いよいよ着付けです。
お気に入りの着物で出かければ、いつもの景色や道でも、着物姿で歩くと新鮮に映るはず。
ぜひ着物姿での外出を楽しんでくださいね。